コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > H28年税制改正 目玉は「配偶者控除」か
(2016/8/29)
8月末で国の各省庁から財務省に概算要求案が集まる。その後、12月末には政府案として1本化される。
併せて、各省庁から税制改正案が提出される。
個人レベルで近年関心が高いのが「配偶者控除」の撤廃だ。労働力が不足して、女性の活力を一層引き出そうと
言う施策だ。謂わば「103万円の壁」を壊そうという案が通るかどうか。是非今回は実現して欲しいものだ。
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1. 「配偶者控除」は、夫婦の内、主婦でパートをしている花子さんの年間収入が103万円未満の場合、夫の太郎さんの確定
申告時に基礎控除として38万円の控除を受けられる制度の事を言う。(他に65万円の給与所得控除がある。)
もし、花子さんの収入が103万円以上となると、花子さんも確定申告をして所得税を申告をしなければならず、夫の太郎さんも
38万円の控除も受けられない。
こうした実情をパートをしている人は、仲間から敏感に教えを引きついている。つまり103万円を超えないように時間調整を
しているのだ。実は働けるのに、税制があるので自主規制をしている訳だ。
では、103万円を超えてしまったら、どのくらいまでが税制上のマイナスになるか? 友人の計算によるとそれは160万円らしい。
つまり、103万円から160万円までは税制上の赤字になるということ。よって特に主婦は、時間を調整する訳だ。
2. 勿論「配偶者特別控除」と言う38万円超~76万円未満の控除制度もあるにはあるが、依然として103万円の壁が大きく立ち
ふさがっている。
3. 筆者は数年前からホームページでこの103万円制度が労働力を阻害していると主張して来た。働ける人には、働ける職場を提供して
くれたら良い。近年労働力不足が続き、6月の有効求人倍率は1.37倍だ。人手不足だということだ。海外から労働力として移民制度を
導入すべしという議論もある中、国内でまだ活用できるキャパが残っている。
是非、103万円、そして配偶者特別控除の140万円の壁を取り除いて欲しい。
追記
(2016/8/30)
上記ジャーナル記事を掲載した翌日の日経新聞、読売新聞1面に「配偶者控除 見直しへ」とする記事がでた。筆者がこの新聞記事を
予定してジャーナルに掲載したようだが、勿論知っておりません。
読売新聞によれば、見直しの対応策と、「夫婦控除」に転換する案が検討されているらしい。夫婦合算、又は世帯単位での課税方式に
転換するというものか。
但し、猶予期間を数年間を設けるので、来年からとはならないようだ。
(了)