GPIF 安全運用を 

GPIF 安全運用を 

(2016/2/8)

 

■ 忸怩たる思い

2月8日、日経新聞の風速計にGPIFのCFOが’15年7-9月期に7.9兆円の損失を出したことを「忸怩たる思いだ。」と漏らしていると。

その理由は、価格変動リスクを避けるデリバティブ(金融派生商品)が使えれば、損失を少なくできたという思いが強いというもの。

現在は市場デリバティブが使えない規制になっており、社保審ではGPIFのガバナンス強化と運用規制の緩和を図り、デリバティブの

拡大も検討されているという。

 

■ GPIFの本領

GPIFは、運用はこれまで運用会社約45社を競争の上登録して、国内債券・株式、海外債券・株式の分野などに運用業者を決め競争

させている。その基本方針は、きわめてオーソドックスな分散投資だ。 その上で、昨年11月からは従来の株式比率を増やした。

それはアベノミクスになり、政府が株価上昇に自信を持ち、その効果を享受したいと思ったから。具体的には、改定前は全体比率を

国内株式12%、外国株式12%であったが、それをそれぞれ25%、25%に引き上げた。

改定後は国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%となった。 これについては、世界的な趨勢から見てGPIFは

むしろ晩熟だといえる。それも世界最大の年金運用基金故かもしれない。 運用の世界では短期的には収益の下落があることは止むを

得ないこと。これまでも, 07年のサブプライム・ローンショック、08年の リーマンショック、そして15年8月の人民元切り下げショック。

今年1月には, 中国のサーキット・ブレカーショックもあったばかり。

しかし、国会を聞いていると民主党のさる議員は、赤字が出た事の責任をしつこく追及していたが、14年度に15兆円の利益を

出したことは一言も言及しなかった。公平性を欠く。

 

GPIFが平成13年に設立以来、平成27年第2四半期までの累積収益額は45兆円になっている。

年率収益率は2.79%。高いとは言えないが、安定している。

同時期の運用額は135兆円世界最大のファンドである。第2位はノルウェー年金で105兆円、第3位アブダビ、第4位中国、第5位

サウジ、第6位クウェイト。(2014年末)

 

 ■ ヘッジをかける

さて、上記デリバティブ解禁について、GPIFのCFO氏は「ヘッジを掛けていれば」、という気持ちで言われたとすれば理解できる。

外国型投資信託には多く「ヘッジなし」「ヘッジあり」を選択できる制度があり、手数料なしでスウィッチング出来るものもあるようだ。

一般的に「ヘッジあり」とは外貨建て有価証券などに、為替損失を避ける為のヘッジという取引をすること。

そうすることで、リスクの幅を少なすることはできる。しかし、一方その為にはコストがかかり、リターンはさがる

外国型投信の場合、筆者の概観では「ヘッジなし」が9割かそれ以上流通している。投資にはリスクは付き物と理解の上、されている。

 

しかし、GPIFの立場は投資家ではない。国民の将来の財布を預かっている。多少、利幅が狭まろうとも、安全運用が第一と進めるのが

根本だろう。

 

GPIFには決して、この一線を超えて、ハイリターンの領域に入って欲しくない。

GPIFのHomeページのなかにも、オルタナティブに関して次の様な記述がある。

 

『運用対象資産としてのオルタナティブの特性

債券や株式など多くの有価証券については、流通市場や情報開示制度が整備されているため、売買がしやすく、時価も把握しやすいと

いう特徴があります。これに対して、インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産といったオルタナティブ資産に

ついては、そういった仕組みが発達しておらず、売買が制約されています。一方で、このような低流動性の対価としてのプレミアム

獲得や分散投資による効率性の向上が期待できます。』

 

 

オプション、デリバティブ、ヘッジファンド、オルタナティブ等々金融工学を屈指したプロぞろいの中に、GPIFは手を出さず、

分散投資の基本理念の基、安全運用に心がけることが求められる。

(了)

 

本情報は当所の業務内容に掛かる投資情報の提供であり、記載されている情報は、予告なく内容を変更する場合があります。

投資に関する最終判断は、ご自身の判断と責任において行って下さい。

 

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 商号等   コバヤシ アセットマネージメント

所長 小林 治行

投資助言業 関東財務局長〈金商〉第2841号

加入協会  一般社団法人 日本投資顧問業協会

 

手数料等

投資助言の契約の前には、「投資顧問契約の契約締結前交付書面」を良くお読み頂き、ご納得のうえご契約頂きます。

報酬等は「投資顧問契約の契約締結前交付書面」又は、ホームページの投資助言業のページをよくご覧ください。

 

投資リスクについて

1. 株式

価格変動リスク: 株価の変動により投資元本を割り込むことがあります。

また、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変動等により、投資元本を割り込んだり、その全額を

失うことがあります。

株式発行者の信用リスク:市場環境の変化、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により売買に

支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り込むことがあります。

2. 債券

価格変動リスク: 債券の価格は、金利変動等により上下しますので、投資元本を割り込むことがあります。

また、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込んだり、その全額を

失うことがあります。一方、債券によっては、期限前に償還されることがあり、これによって投資元本を割り込むことがあります。

債券発行者の信用リスク:市場環境の変化、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに 関する外部評価の変化等により売買

に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り込むことがあります。

3. 外国株式・外国債券

為替変動リスク:外国株式や外国債券等の外貨建て金融商品では、為替の変動により投資元本を割り込むことがあります。

4. 外貨建て証券

為替変動リスク:投資対象が外貨建て証券(例えば海外市場に上場にしている株式、外国政府・公的機関・企業等が発行する債券)

では、前述の株式、債券のリスクに加え、為替の変動により、投資元本を割り込むことがあります。例えば、売却・契約時に投資

時期よりも、円安・円高で手元に戻る円貨の額が変わり、円高の場合には投資元本を割り込むことがあります。また発行した国や

地域、適用する通貨発行国の経済状況や政治状況の変化等により売買に支障をきたし、換金ができないリスクがあります。

(流動性リスク)

5. 投資信託(上場投資信託=ETFを含む)

投資信託は、その投資信託が投資としている資産(例えば株式、債券、商品等)により、価格変動リスク、信用リスク、流動性リスク、

為替変動制リスクを内包しています。

このため、投資元本を割り込んだり、換金ができなかったり、その全額を失う事があります。

6. 投資する国や地域について

カントリーリスク:投資した国や地域により、その国や地域の政治・経済・社会情勢の不安定化や混乱などで等した資金のすべて、

又は一部が回収できないことがあります。

戦争や内乱、経済危機がある又は予見される国や地域に投資することは各リスクが極めて高くなります。

 

 

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