コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > 黒田マイナス金利の評価 ~基本政策の見直しも
(2016/2/1)
■政策決定会合の当日
1月29日、日銀は民間金融機関が日銀に預けている準備金の一定額以上の金利を、従来の+0.1%をー0.1%にすると発表した。
これは、市場にとってスプライズであったことは株価を見ればわかる。当日、寄付き+100円程で寄せた後、マイナスになっが、
10:00日銀発表と同時にぐんぐんと上昇し前日比+600円に跳ね上がり、しかし15分程で急減速、一気に前日比ー200円以上
下落した。しかし、この後、落ち着きを取り戻し、最終的には17,518円 前日比+477円で終わった。この後、15:30から
黒田総裁の記者会見が始まるのだが、29日の1日の上下の株価の幅は何と871円。
業種別には借入の多い不動産業が買われ、そして不利な扱いを受ける金融業が売られた。
私もこのジャーナル(1/23付)で日銀がとる対策として、日経等を参考に4項目を挙げた。その中で預金準備金の金利引き下げ
の可能性もあり得ると列記したが、しかしマイナス金利とは指摘しなかった。黒田総裁が、日銀は欧州の様なマイナス金利政策は
取らないとかねて言っていたからでもある。
このサプライズ政策に対して、日銀の政策決定会合メンバー9名でも、5対4と意見が分かれた。
産業界は円安が期待されるので、評価の声が高い。世論も株価上昇が先月29日と本2月1日の動きから見て、概ね好感を持って
迎えたようだ。
■分析・評価
準備金金利引き下げは一般民間には直接影響は来ないが、間接的に影響は大きい。その流れは次の通り。
準備金のマイナス金利⇒民間金融機関の必要額以上の資金を日銀から引き降し⇒国債を買うか、企業や個人に貸出を促進。
その結果、一斉に国債の金利は下がり、住宅ローンや企業への貸出金利も下がる。一方、貯蓄の金利は益々、下がる。
資金供給が増大したことと、同じことになるので、通貨は円安に動く。その為輸出依存型の日本としては、株高となってくる。
だが、浮わついてばかりではあるまい。少なくとも政策委員の9人の内、4人が反対したという政策だ。
ウォールストリート・ジャーナルは今回の政策に疑問を呈している。(TV東京モーニングサテライトより)
『・量的緩和の効果がなかったことを暗に認めた。
・市場の関心をそらす意図。マイナス金利の効果に疑問。
・中銀の政策は限界で、構造改革は必要。安倍首相のタイムリミット迫る。』というもの。
■進路変更が必要
1週間ほど前のウォールストリート・ジャーナルにそもそも安倍首相は、「ドイツのように円安を誘導するような政策を取るべきで
なかった」という記事があった。確かにこれでは円安国家(弱い国家)となり、じり貧状態を抜け出せない。これでは限界が来る。
必要なのは成長戦略、財政の健全化、技術革新などにより体力づくりと、少子化の中で人づくり(教育)ではあるまいか。
又、そろそろ過大な物価上昇率(実質2%)やGDP実質2%、名目3%も見直して体力づくりが肝心だ。ドイツの政策は手本にして良い。
市場では、中国景気減速、原油安、日本企業の収益第3四半期急減速(1/31日経)とか荒れる要因は次々と現れる。
特に、中国の影響は今後数年受けることを念頭に、TPPも絡めて内需促進も急がれる。
(了)
本情報は当所の業務内容に掛かる投資情報の提供であり、記載されている情報は、予告なく内容を変更する場合があります。
投資に関する最終判断は、ご自身の判断と責任において行って下さい。
【金融商品取引法第37条(広告等の規制)に掛かる留意事項】
商号等 コバヤシ アセットマネージメント
所長 小林 治行
投資助言業 関東財務局長〈金商〉第2841号
加入協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会
手数料等
投資助言の契約の前には、「投資顧問契約の契約締結前交付書面」を良くお読み頂き、ご納得のうえご契約頂きます。
報酬等は「投資顧問契約の契約締結前交付書面」又は、ホームページの投資助言業のページをよくご覧ください。
投資リスクについて
1. 株式
価格変動リスク: 株価の変動により投資元本を割り込むことがあります。
また、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変動等により、投資元本を割り込んだり、その全額を
失うことがあります。
株式発行者の信用リスク:市場環境の変化、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により売買に
支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り込むことがあります。
2. 債券
価格変動リスク: 債券の価格は、金利変動等により上下しますので、投資元本を割り込むことがあります。
また、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込んだり、その全額を
失うことがあります。一方、債券によっては、期限前に償還されることがあり、これによって投資元本を割り込むことがあります。
債券発行者の信用リスク:市場環境の変化、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに 関する外部評価の変化等により売買
に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り込むことがあります。
3. 外国株式・外国債券
為替変動リスク:外国株式や外国債券等の外貨建て金融商品では、為替の変動により投資元本を割り込むことがあります。
4. 外貨建て証券
為替変動リスク:投資対象が外貨建て証券(例えば海外市場に上場にしている株式、外国政府・公的機関・企業等が発行する債券)
では、前述の株式、債券のリスクに加え、為替の変動により、投資元本を割り込むことがあります。例えば、売却・契約時に投資
時期よりも、円安・円高で手元に戻る円貨の額が変わり、円高の場合には投資元本を割り込むことがあります。また発行した国や
地域、適用する通貨発行国の経済状況や政治状況の変化等により売買に支障をきたし、換金ができないリスクがあります。
(流動性リスク)
5. 投資信託(上場投資信託=ETFを含む)
投資信託は、その投資信託が投資としている資産(例えば株式、債券、商品等)により、価格変動リスク、信用リスク、流動性リスク、
為替変動制リスクを内包しています。
このため、投資元本を割り込んだり、換金ができなかったり、その全額を失う事があります。
6. 投資する国や地域について
カントリーリスク:投資した国や地域により、その国や地域の政治・経済・社会情勢の不安定化や混乱などで等した資金のすべて、
又は一部が回収できないことがあります。
戦争や内乱、経済危機がある又は予見される国や地域に投資することは各リスクが極めて高くなります。