インデックス・ファンドの父 ジョン・ボーグル氏を偲ぶ

インデックス・ファンドの父 ジョン・ボーグル氏を偲ぶ

(2019.1.23)

⇒ ジョン・ボーグル氏は低コストのインデックス・ファンドを開拓し、「インデックスの父」と言われる

⇒ 1976年販売開始したインデックス・ファンドは今や最大級の44兆円超に成長

⇒ S&P500は30年間で9.3倍に成長し、年率リターン7.36%、年率リスク14.12% 投資効率52.1%

 

(写真:バンガード本社敷地に立つボーグル氏の像。ファイラデルフィア 撮影 2018.10)

バンガード_ボーグル氏象と庭

 

 1. ボーグル氏とバンガード社

米資産運用会社「バンガード社」を創立した、ジョン・ボーグル氏が1月16日に亡くなった。89歳。

彼はもともとアクティブ・ファンド「ウエリントン・マネジメント」の社長をしていたが、経営陣と

経営をめぐる問題で, 別会社「バンガード」を設立。

 

1975年バンガードは営業開始。彼は従来型の投資信託を低コストで独自に運営する新たな事業を

「バンガード・エクスペリメント」(The Vanguard Experiment)と呼んだ。これにより、外部

運用会社が利益の為にファンドを運用する従来の投資信託の構造から大きく変化を遂げた。

 

1976年に初めてインデックス・ファンド「バンガードS&P500インデックス・ファンド」を売り

出した時は「アメリカらしくない」と業界や投資家から嘲笑され、当初1100万ドルしか集まら

なかった。それが現在は業界最大のファンドの一つまで成長し、4000億ドル以上の資産となって

いる。今日ではバンガード社の中で、インデックス・ファンドは預り資産5兆1000億ドルの70%

以上を占めている。「インデックス・ファンドの父」と言われている所以だ。

 

ボーグル氏の銅像は構内の中に建っていた。社員食堂の前にあるので、社員は1日1回はボーグル氏

に御対面が出来る。

 

ボーグル氏は海軍史が趣味だった。「バンガード」という社名は、ナイルの海戦で活躍したイギリス

海軍提督ホレーショ・ネルソンの旗艦の名にあやかって付けたもの。先駆者となって、ビジネスを

進めるというテーマと共通すると考えた。写真の戦艦「バンガード」は、バンガード本社のあちこちで

見られる。

(以上出典:バンバード社日本 ホームページより)

 

(写真:イギリスの戦艦「バンガード」 撮影 2018.10)

Vangurad 帆船

 

2. アクティブはインデックスに勝てないのか

資産運用の分野でおいて高い評価を得ていて、50年のキャリアを誇るチャールズ・エリス氏の「インデックス

投資入門」の本より引用する。

投資においては、「ベンチマーク」という単語を使う。これは投資商品の収益率や特定の銘柄の騰落率などを

比較・評価するための指標であり、通常、株価指数や債券指数などの「インデックス」が使われる。つまり

ベンチマークとは市場全体の動向・トレンドのことであり、個々の銘柄を指して言うことではない。

通常、日経平均やTOPIX、S&P500, NYダウ、MSCI コクサイなどが使われることが多い。

チャールズ・エリス氏によればモーニング・スターのデータを基に評価して見ると、1年程度ではアクティブが

インデックスに勝つ割合は大型総合では約30%だが、小型総合では50%を超える。しかし10年を過ぎるとどの

分野でもその割合は35%を割り込む。大型総合では16.6%、小型総合では24.7%しかアクティブは勝利していない。

そこで彼は「全体の3/4のアクティブ投資信託は、インデックスに負けている。」と言い切る。

更に、元プリンストン大学経済額博士のバートン・マルキール教授の言葉として、『インデックス・ファンドの

リターンは、恒常的にアクティブ運用より約2%上回る。手数料・税金控除後でアクティブ運用は全体として市場に

勝てない。即ち、経費と売買コストの分だけインデックスを下回る。』(「ウォール街のランダム・ウォーカー」

より)の言葉を引用している。

 

つまり、長期保有が大原則の資産形成では、アクティブがインデックに勝つ割合は1/4しかないと言う事になる。

 

3. S&P500 30年の軌跡

インデックス・ファンドとは日経平均株価、TOPIX、NYダウ、S&P500等株価指数に連動したファンドのこと。

人工的な思考を取り入れず、市場の流れに任せる「パッシブ(受動型)」方式。ファンドマネージャーが

銘柄を選択し、適宜売買を繰り返す「アクティブ型」との競争では、3/4の割合でインデックス(パッシブ)が

勝利するというチャールズ・エリス氏の指摘もある。

では、「インデックス」とさえ唱えていればいいのか?と、事例を見てみよう。

選ぶのは最も多く採用されている米国の「S&P500」。これを1989年1月~2018年12月までの30年間、指数

(月間)を取ってみると、ITバブル崩壊の2002年、リーマンショックの2008年と大きく値を下げた年もある。

しかしこれを近似曲線で描いてみると見事に右肩上がりの曲線が出てくる。

S&P500 30年間の

・年率リターン 7.36%

・年率リスク 14.12%

・投資効率 52.1%

となり、資本主義の下では、単年度では上げ下げはあるものの、長期的には上昇カーブの実態を示している。

 

S&P

比較として、20018年単年度でリターン・リスクを調べて見た。

・年率リターン -11.2%

・年率リスク    4.2%

となり、単年度だけでは上昇・下降が鮮明に出る。

 

© 2019 コバヤシ アセットマネージメント 小林治行

(了)

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また、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変動等により、投資元本を割り込んだり、

その全額を失うことがあります。

株式発行者の信用リスク:市場環境の変化、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の

変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り

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また、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込んだり、

その全額を失うことがあります。一方、債券によっては、期限前に償還されることがあり、これによって投資元本を

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債券発行者の信用リスク:市場環境の変化、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに 関する外部評価の

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