(No.213) 中国経済 目立つ減速指標

 

(No.213) 中国経済 目立つ減速指標

(2019.1.15)

 

⇒ 上海総合株価は、昨年1月後半のピーク時から28%減

⇒ 輸出・輸入とも前年同月比割れは2年2ケ月ぶり

⇒ 中国最大の工業、自動車販売は28年ぶりの前年割れ

 

中国経済の減速のニュースが目立つ。

12月の中国指標は貿易統計、新車販売台数などの数値は急速に減速している事を現わしている。

背景には、米中貿易摩擦による追加関税分が価格に上乗せされ、他国の競争力が増していることを示している。

習近平氏率いる中国は、将来の覇権をめぐってトランプ政権と争っており、近日中に円満解決の見通しが付か

ない中、両国はもとより両国との交易の盛んな日本、韓国、東南アジア、豪州、南米にも影響を与えている。

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経済の総評を一つに纏めるとすると、株価だろう。

代表的な株価、「上海総合」は18年年初から本日までの最高値は18年1月24日の3,559㌽、最安値は同12月

24日の2,465㌽。直近では2,560㌽前後と回復基調には見えるが各種経済指標は下げ止まらない。

又、貿易に大きな影響を与える為替は、一時は対ドル7元に迫り一気に底抜けを懸念されることから緊張した。

11月頃には、1㌦=7元になったら中国当局は為替介入するだろうと言われていた。

 

株価、為替の流れを変えたのは、昨年3月1日トランプ大統領の「鉄鋼に25%、アルミに10%」の輸入関税を

課す通商拡大法第232条を適用すると発表したもの。これ以降3次に渡り、両国が報復の追加関税すると

摩擦が続いている。

(表)

 

'190115_中国経済(2)

(表:当事務所作成)

 

こうした動きは、中国のみを直撃したのではない。米国企業で中国を主要マーケットとしている企業や、

iPhoneのように中国内で組み立てをしている企業にも大きな影響を与える。

現状では、この両国の貿易摩擦は中国の方にそのダメージが大きいように見える。

 

12月の中国貿易統計によると、輸出入とも事前予想に反し前年割れとなり、輸出は前年同月比4%減、

輸入は同8%減となり、輸出・輸入とも前年同月を下回るのは16年10月以来2年2ケ月ぶり。

トランプ大統領は、3月1日を期限として、中国製品の追加関税率の引き上げを示しており、期限までに

妥結する必要があるが、現在継続中の協議では難しいとの憶測もある。現状では知的財産権の扱いや

国有企業への支援などは、意見の隔たりが大きく進展がみられていない。

 

中国は世界最大の自動車市場だ。中国の販売台数は、米国の1.6倍、日本の5.3倍の大市場。

その中国自動車市場の18年新車販売台数は、2808万台と17年比2.8%減となった。

17年にあった減税打ち切りの駆け込み需要の反動減もあったが、米中摩擦による不透明感が悪材料と

なっている。

中国の自動車産業は工業産業で最大で、サービス部門まで含めると中国GDPの約10%を占めるとされ、

中国当局にとっては対策の必要性があり、農村での販売刺激策の検討をしている。又EVカー導入スピ

ードを上げる考え。

(資料:日経新聞、ブルームバーグニュース)

(了)

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