長期金利世界で上昇 マイナス金利は撤廃が宜しかろう

 長期金利世界で上昇 マイナス金利は撤廃が宜しかろう

(2016/9/13)

 

世界各国の長期金利が上昇して来た。日本も、ドイツも、アメリカも。

6月23日の英国のEU離脱で、一気に不安に陥った世界経済も当面の落ち着きを戻しているが、現在ではアメリカの9月の利上げは

あるのかないのか、日銀の9月21日の全面的な総括の具体的な施策とはなにか、それらの憶測が市場に影響を与えている。

その影響を見てみた。

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下のグラフは最近の日本の新発10年国債利回りだ。9月に入ってから急に利回りが上昇している。

利回り上昇とは、裏返せば国債価格が下落しているという事。ドイツが英国のEU離脱決定後マイナス圏で推移してきた10年国債が、

直近ではプラス圏に入った。日本でも9月に入り、急に上昇してきた。

 

米国の非農業者雇用統計によると、6月の27.1万人、7月の27.5万人と予想を上回る改善を見せたが、8月の統計値は15.1万人と方向を

出しにくくなった。失業率も6~8月まで4.9%と連続数値は、ほぼ完全就業状態を示すとのこと。新車販売台数、住宅着工件数、物価上昇率なども

安定して伸長状態だ。

米国における不安要素は原油価格動向だ。シェールガスの生産と中東の生産過剰の為、1月下旬には1バーレル当たり30ドルを切っていた

WTI価格も今では45ドル前後のボックス圏に入っている。OPEC国の協調も纏まらず、来年も50㌦を回復するのは難しと見られる。

 

こうした点を8月26日の米国連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の、ジャクソン・ホールでも公演は注目された。イエレン氏は9月

利上げを排除せず、アメリカの景気の強靭さを示した。しかし、マーケットでの予想ではその確率は1/4程度となっている。

12日のFRBのブレイナ-ド理事が、「米経済は成長力が鈍化しており、金融引き締めは慎重さが求められる」と講演したことも9月利上げ観測が

弱まったと見られドル売りが進んだ。

 

アメリカにおけるリスクとしては、11月の大統領選挙だ。特にトランプ氏が選出されることへのネガティブ感だ。何を言い出すか分からない。

同盟国アメリカのトップに世界を預けるという不安感だ。又、民主党のヒラリー・クリントン氏の健康問題も不安だ。

 

・9月上旬には中国杭州で20ヶ国・地域(G20)の首脳が集まるG20が開催された。中国としては、経済大国としてこの機会に経済エンジンを

吹かしたかったろうが、日米は南シナ海の中国による軍事島化反対に封じられる結果となった。続くアセアン会議、拡大アセアン会議も経済発展と

南シナ海問題が交錯して大きな実りはでなかった。

 

・日本の金利も世界の状況に同期している。日銀の黒田総裁は7月28日の政策決定会合で、マイナス金利は維持するとしながらも、9月は

「包括的な検証」をおこなうなうとしてこれまでのクロダノミクス、マイナス金利の効用、副作用と合せ、追加金融政策を発表すると思われる。

最も大きな目標は、物価2%上昇の達成だ。しかし、その2%目標も容易でない。

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過去3年に物価上昇率を見る生鮮食品とエネルギーを除いた(いわゆるコアコアCPI)でも直近で、0.3となっており日銀があらゆる

手段を使って来ても見通しは明るくない。

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仮に、日銀が更にマイナス金利を更に下げて-0.15%としたところで、銀行の収益悪化の方が目立つようにならないか。

マイナス金利により、住宅ローンの借り換え需要は相当進んだと聞く。

年金受給者にとって、銀行金利は楽しみであったが、100万円の預金で年間金利は80円(税引き後)、もし送金をすれば648円掛かる。

(銀行によって異なる) 金利と言うのが恥ずかしくなる。この政策がベストいう論拠が理解できない。

金利を買いなすにしておいて、物価が2%に上昇するのか。下げることに慣れているのではなかろうか。

日銀には、マイナス金利を撤廃することを望む。真っ当な金融政策を立ててもらいたいものだ。

(了)

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