コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > 米雇用者数 一つの指標がガラリと変えた
(2016/6/7)
アメリカの一つの指標が、評価をガラッと変えた。
6月3日発表された5月の「非農業部門雇用者数」が、前月比3.8万人増加と5年8ヶ月ぶりの悪化だったことから、市場は
ショックを受けた。予想では、4月と同じ、16万人程度と言われていたからだ。
6月のFRBの利上げは難しくなったし、また円高に日銀の為替介入に影響を与えるのか。
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アメリカでは、雇用統計が経済指標として特に重要視され、その数値が20万人以上だと景気が上昇と見られている。
通信大手のべライゾンがストライキに突入していたので、34,000人が雇用から外れたこともあるが、それを差し
引いても3.8万人の増加という指標は、景気の陰りと映ってしまう。
影響はすぐに為替に現れた。5月末には110~111円だった為替が、指標発表直後には急激にドル安になり、106円台になった。
為替の圧力が、株価を下に押さえつける。
6月6日月曜日 日経平均も前週発表された米国指標の悪化にうろたえた感があり、寄付きは前営業日比269円安で始まった。
更に不安は残り、最安値は320円安。
一方、アメリカ時間6日にFRBのイエレン議長の講演があり、雇用悪化と利上げ、更にイギリスEU離脱問題等に対しての
発言に関心が集まった。議長は雇用悪化には「失望」したと延べ、利上げ時期を特定しなかった。
そうしたことから、株価も午後からは安定してきて終値は62円安で引けた。
NYダウも利上げが遠のくとの予測から、反発し、前週末比113㌦高で終わった。
ドル為替は、テクニカル的にみると一目均衡表では12月までは雲の上にあったが今年に入り、1度も雲上に現れたことがない。
雲の上に差し掛かると押し返される。
ISM景況感指数や、消費者物価指数(コアCPI)など月初の経済指数は、通常の動きを示しており6月のFRBの利上げも
既定の事実のように言われていたが、この一つの指標ががらりと変えた。
FRBの利上げ問題は、慎重になりそうだ。
日本にとっても、このまま105円を切り104円台に入ると介入に入ると思われる。そのせめぎあいだ。
当面、円高・株安傾向が続く。次のタイミングは6/15-16の日銀政策決定会合、続くFOMCの理事会、及び6/23のイギリスの
EUからの離脱についての国民投票だ。
(了)
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