(No.244) 米大統領選、経済対策の比較

(2020.10.25)

(No.244) 米大統領選、経済対策の比較

⇒ 産業界はトランプ支持だが、世論調査ではバイデン氏は7%程リード

⇒ 政策の大きな違いは、増税か、減税か

⇒ 対中政策は大きな違いなし

 

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米大統領選が残り2週間になった。 コロナに感染したトランプ氏は自分か免疫を授かったと公言している。

科学的に証明されていないにも拘わらず。

10月22日、2回目で最終回のトランプ、バイデン両氏によりテレビ討論会が、テネシー州ナッシュビルで約1時間半

行われた。 1回目の討論会は、発言中に一方が言葉を遮る場面が多く(特にトランプ氏)、それに暴言に近い罵り合いの

ような低俗討論会であったが、 第2回目は比較的整然と進んだ。しかし、政策の討論よりも外国から金を受領している

とか、納税していないとか相手を非難中傷する様は 変わらなかった。こうした品の悪さは見たくないものだ。

 

一番の論点は、新コロナ対策

トランプ氏はマスク無しで登壇したが、一方バイデン氏はマスクをして現れ違いを見せた。 昨今、米国の新規感染者数が

過去最大を記録するなど、バイデン氏は今や死者数225,000人を越えた惨状に対しトランプ氏のコロナ対策の無策を非難。

一方、 トランプ氏は原因は中国にあるとかわす。

環境問題では、バイデン氏が2050年までに排出ガスゼロを目指すとエネルギー産業の低減と、再生エネルギーの

推進を 打ち出した。米国ではシェールオイルの価格が低迷の中、どちらの候補が選ばれても、石油は今後さらなる需要減が

予想される。更に、自動車のEV化も石油生産を押し下げとなる。

 

税制面から比較すると、最も大きな政策の違いは、トランプ氏が減税を推進し、バイデン氏は増税政策を打ち出す。

特に法人税では、コロナ下のもと業績も低下している現況で、増税は景気後退を呼び込み二重に足を引っ張ることになる。

バイデン氏も当選後すぐの増税はさすがに打ち出しにくく、2022年頃を想定しているようだ。

 

為替相場の面から見ると、バイデン氏が勝利すると選挙直後は米国経済への懸念からドルが売られ、円高が予想される。

一方、 トランプ氏の勝利だと、経済政策への期待からドル買い、円安が進行しよう。

 

これ等を合わせると、産業界では共和党のトランプ氏支持が多くなる。 工場が多い中西部は共和党トランプ氏がリードする。

一方、若年層やヒスパニックの多い州では、民主党バイデン氏支持が多い。テレビ討論後の各種世論調査でも、バイデン氏が

トランプ氏を7~10ポイントリードしている。

しかし、3年前の選挙でも、トランプ氏が7ポイントほどリードされていたのに、接戦州を抑えて当選した実績があり 世論

調査だけでは判明しないようだ。

 

対中国政策では、両陣営間に珍しく大きな違いはなく、どちらになろうとも強硬路線は継続される。

輸入品への追加関税は維持され、知的財産の保護、ファーウェイの締め出し、南シナ海の自由航行権確保、5Gのイニシ

アティブ覇権、過剰な中国への生産依存解消など、部分的にそして思いのほか早く締め付けは進むものとの想像される。

 

'201025_米大統領選の政策比較

 

他にも論点としては、人種差別問題、国境問題、メディケア、中東問題、移民政策、教育問題等がある。

新型コロナを理由に、今回は郵便による投票も行われており、トランプ氏は負ければ不正があったと言いだすと言われ、

11月3日の選挙後すぐに、次期大統領は決まらないかも知れない。

年齢もトランプ氏74歳、バイデン氏77歳。特にバイデン氏が選ばれると、これから8年間は厳しい。

よって今回は副大統領候補(ペンス氏とハリス氏)のディベートも重要になる。

 

 

(了)

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