投資信託 運用額減少の根源

投資信託 運用額減少の根源

(2018.7.9)

 

⇒ 投資信託の保有者の約半数が損失

⇒ 過度の分配金や短期の売買で十分な運用収益を得られず

⇒ 金融機関には、顧客の損益より自らの手数料収入の多寡を気にする風土あり

⇒ 本年度の運用結果は、ほぼ全てで運用額はマイナス

 

18年7月5日の日経新聞「投信で損失 個人の半数」と題する記事には、「やはりそうか!」と納得した人も

多いはず。金融庁調査によれば、過度な分配金や短期の売買で十分な運用収益を得られず、投資信託を保有する

個人の46%が損失を抱えている。

更にその損失率▼10%~▼19%までが一番多く全体の35%とのこと。

これではいくら政府機関が「貯蓄から資産形成へ」と旗を振っても、半分は損を出すかも知れないと国民が知れば、

危なくて手を出す(投資する)気にはなれないのも納得できる。

投資信託協会の資料から奈辺に問題があるか追及して見よう。

 

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日本の公募投信の残高は、本年5月末現在で110兆7500億円。うち株式投信が98兆2700億円、公社債投信が12兆

4700億円なる(資料:投資信託協会)。日本の国家予算をも凌駕する規模の投信だが、集計する時期によっても

結果は全く異なる。

投資信託協会の資料により、商品別の資金増減額と運用結果額を比較して見た。

 

(表1)

株式投信=資金増健と運用結果(1805現在)

この表を作成して見ると、

17年1-12月の特徴として

1. 全体として、8兆1000億円の資金流入、運用結果は11兆円のプラス

2. 国内外の不動(REIT): 運用損益はマイナス

3. 毎月分配型: 運用益あるも資金減少

 

本年1-5月の結果としては

1. 全体として、資金2兆4000億円の流入だが、運用は2兆5000億円のマイナス

2. 運用結果: 国内REITを除きすべてマイナス

 

上記表の内、運用結果だけを抜き出して比較して見た(表2)。

(表2)

株式投信の運用結果(1805現在)

 

(表2)は全体として株式投信があり、その内訳として他の3種があるというくくりとなっている。

金融庁が赤字運用が目立つので調査したのか、たまたま調査時点と運用悪化時期が一致したのかは不明だが、

殆ど全ての商品で運用はマイナスとなっており、特に毎月分配型の赤字が資金全体の割に大きく足を引っ張っている形だ。

 

今年に入って殆ど全ての商品が運用マイナスということは、金融機関の責任だけとは言えない。

特に3月の落ち込みが大きく、トランプ政権の保護主義の政策、米中貿易戦争の懸念、未だモリカケ問題を抱え自主性を

持たない安倍政権の不安定政策等の複合がこうした赤字を引き起こしていると見る。

又、2016年から日銀のETF年6兆円購入も継続的になされており、既に25兆円を超えている。いつまでの続けられる

施策ではないので、その反動も気になるところ。

今後の見通しとして、11月のアメリカ大統領予備選や、自民党総裁選挙までは先行き不透明でこうした状態が続きそうだ。

 

(了)

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投資リスクについて

1. 株式

価格変動リスク: 株価の変動により投資元本を割り込むことがあります。

また、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変動等により、投資元本を割り込んだり、

その全額を失うことがあります。

株式発行者の信用リスク:市場環境の変化、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の

変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り

込むことがあります。

2. 債券

価格変動リスク: 債券の価格は、金利変動等により上下しますので、投資元本を割り込むことがあります。

また、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込んだり、

その全額を失うことがあります。一方、債券によっては、期限前に償還されることがあり、これによって投資元本を

割り込むことがあります。

債券発行者の信用リスク:市場環境の変化、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに 関する外部評価の

変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り

込むことがあります。

3. 外国株式・外国債券

為替変動リスク:外国株式や外国債券等の外貨建て金融商品では、為替の変動により投資元本を割り込むことが

あります。

4. 外貨建て証券

為替変動リスク:投資対象が外貨建て証券(例えば海外市場に上場にしている株式、外国政府・公的機関・企業等が

発行する債券)では、前述の株式、債券のリスクに加え、為替の変動により、投資元本を割り込むことがあります。

例えば、売却・契約時に投資時期よりも、円安・円高で手元に戻る円貨の額が変わり、円高の場合には投資元本を

割り込むことがあります。また発行した国や地域、適用する通貨発行国の経済状況や政治状況の変化等により売買に

支障をきたし、換金ができないリスクがあります。

(流動性リスク)

5. 投資信託(上場投資信託=ETFを含む)

投資信託は、その投資信託が投資としている資産(例えば株式、債券、商品等)により、価格変動リスク、信用

リスク、流動性リスク、為替変動制リスクを内包しています。

このため、投資元本を割り込んだり、換金ができなかったり、その全額を失う事があります。

6. 投資する国や地域について

カントリーリスク:投資した国や地域により、その国や地域の政治・経済・社会情勢の不安定化や混乱などで投資し

た資金のすべて、又は一部が回収できないことがあります。

戦争や内乱、経済危機がある又は予見される国や地域に投資することは各リスクが極めて高くなります。

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