コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > 円高 株価を抑える
(2016/4/10)
日経平均株価がもがいている。4/8現在、昨年末と比較して▼16.9%となり、世界株安の根源の一つでもある
中国の株価よりも下げがきつい。一方、アメリカとイギリス市場はほぼ同値を維持しているのと比較すると、
日本の下げが目立つ。
日本の経済の現況は企業業績も15年3月期に限ってみれば、全体として増益であり悪いという状況では無い。
そこで株価下げの原因を考えてみる。
要因としては、1)中国経済の低落化(GDP15年6.9%⇒6.5~6.6%予想)、2)方向性が見えない原油価格
(WTI,30~40㌦)、3)賃金上昇率の低迷(昨年の半分)、4)円高による企業業績の下方修正予測、5)1/29
日銀マイナス金利による庶民の消費抑制傾向、6)マイナス金利により住宅ローン等の伸びが期待されていながら、
その効果が目に見えず、却って金融機関の業績悪化の原因になっている。
本来原油安は一種のボーナスのようなもので、下がった分の幾分かが飲食か、小売りに消費されることを期待
されるが伸びてこない。15年に日本を訪れた外国人は約2000万人弱。特に中国人の爆買いが話題を呼んでいるが、
中国政府は、外貨持ち出しに規制を掛けそうだ。
訪日外国人は年間約3兆円を落としてくれるので、貴重なお客様だ。しかし、中国政府は外国で購入した爆買い
商品に関税を検討しているようだ。また、ビッドコイン制度等を導入し、持ち出し規制を図ろうとしているようだ。
株価に大きく相関するのが為替だ。日本は輸出国の特徴を持っている為、円は円高より円安の方が株価には
効果がある。特に自動車、電気、プラント、にはマイナス、航空機や紙・パルプ、資源輸入会社などには
有利に働く。総合して比較すると、日本の特性として、円高はマイナスに効いてくる。
円高はなかなか複合的に要因が絡まる為、対処療法が後手になってしまう。
下記の表は日経平均と為替の関係を表示しています。
為替は2月上旬と、3/まから現在までの2回大きく切り上がっている。(表の赤の折れ線)
その要因として、1)アメリカ経済の指標は比較的に安定して強含みで、昨年12月の0.25%利上げを次は何時かに
ついて議論されるようになり、ドル高の基調をドル安に切り替えたと推察される。しかし「S&P500の今期全体の
純利益ではエネルギ-部門が足を引っ張り、前年比▼7.6%。エネルギーを除いても▼2.5%」(トムソン・ロイター)
と、先行きは曇天だ。 2)日本の企業業績が円高懸念から増益予想ながらも緩慢になることを予測させている。
4/1に発表された1-3月の日銀短観も予想以上の下げで、株価にショック゚を与えた。3)年初から外人投資家の
売りが先行し、これまで5兆円も売り越しとなっている。
これに対し、年金基金(GPIF)や日銀が買い支えているし、更に企業の自社株買いも進んでいるものの外人
投資家の売り圧力が強い。4)日本の経常収支が原油コスト下げや、訪日外国人の爆買いもあって黒字基調が
安定してきた結果、円買いに進んでいる。「マイナス金利」というイメージが良くなく、個人が自分の資産
防衛に傾斜が掛かっている。
以上より、今後の推移を予測すると、円高傾向はまだ今後とも進みそうだ。
1)中国は外貨準備高の下げも取敢えず止まったように、管理可能な状態に入るだろう。2)アメリカは利上げを6月に
実行するか、又は更に伸ばすか。どちらにしても、緩慢な方針になりそう。
3)上記の背景の基で、日本としては大型の経済対策を打ち出さねばならないところに来ている。即効型の対策が
検討されている。又、消費税2%増税は一層の冷や水を掛けることになるので、延期の線が強いと見る。
5月26・27日は伊勢志摩サミットが開催され、日本は議長国として率先して経済優先策を打ち出す必要が出てくる。
その対策で外人投資家が戻ってくるようにしなければ意味はない。
4/27-28の日銀政策決定会合で更なる金融政策は期待されるところだが、マイナス金利のこれ以上の引き下げ
効果が希薄になっている以上現状維持、又は0に戻すべきである。
(了)
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