世界経済 安定化へ向かうか

世界経済 安定化へ向かうか

(2016/7/12)

 

7月10日の参院選挙の結果は与党の改選過半数、改憲勢力2/3超という結果に終わり、民進の共産党との共闘が功を

奏したとは言えない結果に終わり、安倍政権の盤石が目立った。又、イギリスでは、EU離脱決定後、辞意を表明した

キャメロン首相の後継にテリーザ・メイ内相が決まった。一方、国レベルではないが、舛添前知事の「セコイ」金銭

問題での辞意後、まともな候補者が現れなかったが、公示日が近づくと、少しまともな論客が出て来た。

経済的に不安要素は、本日発表される常設仲裁裁判所の中国の南シナ海の領有権と埋め立てに対する判断がどう出るか。

中国に不利な判断が示されると見られている。その後、申立国のフィリピン、そしてアセアン、日本、米国、欧州は

どう対応するか。またアメリカの大統領選でトランプ氏の動向も今後の不安材料。イタリアの金融不安も再燃しそう。

いつになったら安定するのか。

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1. 日本国内は安定化へ

日本の参院選挙は与党圧勝の結果で終わった。これを受けて安倍首相はデフレ脱却に向けて大胆な経済対策を実施

する予定。融資なども含め規模は10兆円を乞える対策で、「アベノミクス」を進める。

この柱の一つは、納付期間が足りずの年金を受け取れない無年金者の問題で、期間を25年から10年に短縮を導入する。

これにより約42万人いる無年金者の内、約17万人が新たに年金を受けられるようになる。若者対策として、奨学金

制度の充実も盛り込み。

またインフラとしてはリニア新幹線の全線開業を8年前倒し、農林水産物の輸出促進、訪日観光客受け入れの為に、

クルーズ船受入の為の港湾整備なども検討する。

9月中旬の臨時国会に法案を提出する予定だ。

 

こうした選挙結果を好感してか日経平均株価は、11・12日の2日間で986円上昇した。12日の終値は、6月23日以来

約半月ぶりに16,000円台を回復。

日本の株式市場は6月23日の英国のEU離脱の国民投票の結果を受け、大方の予想に反し離脱と決まったことから、

翌24日は1日に1,286円(-7.92%)も下げた。なぜ、おひざ元のFTSE100は-3.15%、NYダウは-3.39%なのに東京

市場はその倍ほども影響をうけるのか。(当ジャーナル6月26日号を参照願いたい)

 

その答えが今回の選挙結果だといえる。

 

2. EU離脱決定後の英国、欧州

EU離脱を一番喜んで良い人は、離脱を指導した保守党の前ロンドン市長、ボリス・ジョンソン氏のはずだった。

キャメロン首相より3つ年上、名門私立高イートン校からオックスフォード大ペリオール・カレッジを卒業。

デービット・キャメロン氏もイートン校からオックスフォード大ブレーズノーズ・カレッジを卒業。

二人とも盟友で保守党だが、デービットが先に首相になった。ボリスは半年前までは、離脱反対派と見られて

いたが、突然離脱派に倉替えしたのは、離脱は可能性が低くこの時にメディアに顔を売るチャンスと受けを狙った

のではないかと言われている。結局、ボリスは理由もなく、降りた。

 

離脱派のもう一人の指導者、独立党のファラージュ党首は、投票の運動の中で「EUへの拠出金が週当り、3億5千万

ポンド(約480億円)負担が軽くなる」と言っていたが、誤りだった。他にも公約を反故にする動きがあり、結局

降りることになった。

 

離脱に賛成票を表明した人の怒りは、当然だがEUに戻りはあり得ない。早速キャメロン首相の後継者選出の動きが

始まり、現内相のテリーザ・メイが決定した。競争者が降りたので、数週間早く決定した。

これは早期にEUと離脱の交渉に着くと見られ、英国内は元より世界にも安定感を与える。

 

一方、欧州EU側の対応は今後待ちだ。当面、世界の銀行株が下落している。7月7日の日経によれば、6月23日と

比較してイタリアのモンテ・パスキが-51%、英国RBS -36%、 イタリア ウ二クレディト -33%、英国

バークレイズ -27%、フランス ソシエテ・ジェネラル -26%、スイス クレディ-スイス-22%、ドイツ

ドイツ銀行 -21%・・・と続く。邦銀も-15~12%だ。

英国の混迷に一応の歯止めがかかると見られる。

 

3. 南シナ海 常設仲裁裁判所の判断

本日、日本時間で18時、判断が出される。申立国(フィリッピン)の主張に近い判断が出ると見られる。

中国は既にそれを予想して、判決は受け入れないと反発しており、アメリカは空母や戦闘機を派遣している。

中国海軍も西沙諸島付近で軍事訓練を実施している。

南シナ海が緊張になることは間違いはない。しかし、軍事力の比較をすると、米軍は圧倒的力を持っているので、

全面戦争には至らないとみる。時間はかかるが最終的には中国は論戦に敗退し、妥協。国連又はアセアンの集団

管理下に置かれるのではないか。全面戦争に至る程、中国指導部は北朝鮮と異なり、稚拙ではない。

戦争⇒敗北は則、共産党政権の崩壊を意味するからだ。

 

4. アメリカ トランプ氏

以前はトランプ旋風と言われた時期もあった。トランプ氏は移民反対、TPP反対、友好国安保ただ乗り論、

富裕層への増税、COP21(パリ協定)合意の取り消し・・・、とかこれは大混乱が予想される。

現在の世論調査では、民主党ヒラリー陣営が支持率が高いと言われている。

経済面からはトランプ氏はリスクだ。11月まで、目を離せられない。

 

(了)

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株式発行者の信用リスク:市場環境の変化、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の

変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り

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