コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > アメリカ経済の成長の原点(2)
(2015/4/9)
私の友人が、アメリカの血液ガンの薬を研究・販売している企業に関心を持っていて、共同で調べることに
しました。称してバイオ医薬品業界。
そこで見たのは、1社だけではなく業界として利益の伸びが早いこと。4社程中核の会社があるようですが、
時価総額は10兆円~20兆円の日本でいえばトップランクにいる企業群で、利益は3年で倍になっています。
日本の薬業界を見るため、武田薬品とアステラス製薬の利益の平均をだし、2012年⇒2015年(予想)の
過去3年の利益伸び率を計算すると、11.7%しか伸びていません。(資料:会社四季報 15年春号)
その訳はジェネリックに押されるとか、薬価基準とかにあるようですけど、海の向こうの国のスピードが
とても早く見えます。
注)・・と言いましても、製薬ではサリドマイドの様な薬害があったことを忘れてはなりません。
前回も書いたように、2008年のサブプライム・ローンに端を発したアメリカ金融危機から、4年後には立ち直る
その渋とさ、失敗を乗り越える力を持つ国、そして自由でありながらも自己責任を基準とする国、
それがアメリカと見えます。
そろそろ、なぜアメリカの経済は強いのか、私見を述べさせて頂きます。
1)人口
経済の基本は人口です。アメリカは今だ移民政策を取っており、年間100万人程受け入れています。
又、一人の女性が生涯に産む子供の数は日本は1.3~1.4ですが、アメリカは1.9~2.0です。
その結果、1980年から2014年までの34年間に日本は1.16憶人⇒1.27憶人 +1,100万人、
アメリカは2.27憶人⇒3.18憶人 +9,100万人。2050年には人口4億人になるとも言われています。
(ニューズウィーク誌)。そこには黄昏の日本と成長するアメリカの違いが見えます。
2)GDPと個人消費率
本年1月のIMF発表の世界経済見通しによれば、2015年アメリカのGDP前年比 +3.6%、日本 +0.6%です。
2016年はアメリカ +3.3%、日本 +0.8%です。欧州は日本より良いとはいえ日本とアメリカの中間程です。
つまり、先進国で3%台を維持できる国はアメリカだけであり、1強と言えましょう。
その裏付は雇用統計の改善や、店員さんの賃金アップまで浸みているようです。
3)強い国、世界一を目指す国
アメリカの国民性でしょうが、強い国を目指します。その象徴がニューヨークの国連本部。
各国首脳が毎年1回は演説の為アメリカ入りをしますが、まるで参勤交代か朝貢制度にも見えます。
もし、アメリカの力が弱まり、新国連が北京にできたら・・・。アリエナイ!というでしょう。
アメリカは、IT業界を作って来ました。ナビの為に衛星を打ち上げ、今は無料で使っていますが、
元はと言えば軍需です。今は民主党政権で控えていますが、共和党の時は世界の警察を
自認して来ました。
4)経済・金融制度
金融制度も大半アメリカが構築して来ました。ケインズ以降多くの経済学者が登壇し、金融工学なる
新分野を打ち立てました。ノーベル経済学は圧倒的にアメリカです。日本にはいません。
5)エネルギー
セブンシスターズと言われた国際石油資本7社はその内5社はアメリカでした。
今その石油業界に新たらしい波が来ています。2014年中から、原油価格がそれまでのバーレル
100ドル(WTI)ほどだった物が、本年に入り50ドルとなり、世界の様相が変わって来ました。
5~6年程前からアメリカで新規石油・ガスの生産方式としてシュールガス方式が開発され、従来の原油市場を
刺激しました。更に中東の産油国で組織するOPECも、従来原油生産を減産しないので、原油輸入に
頼る国、特に日本や韓国には慈雨になっています。
IMFの見通しでは原油が30%下落すると、先進国の経済成長は+0.8%となるとのこと。
このことは車を良く使用する人にとっては、ボーナスが来たようなもので、個人消費を刺激します。
6)来年は大統領戦
選挙の前には景気対策を出すのはどの国も同じです。選挙は来年11月。
7)他に
・基軸通貨をもっていること。
・中国以外に競合国がないこと。
・基準・規格作りを無理を押し通す実力を持っていること。
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