移動平均線、VIX指数から見るS&P500

移動平均線、VIX指数から見るS&P500

(2019.11.19)

⇒ 足元は25日線>75日線で、市場トレンドとしては上昇基調。しかし、米中貿易戦争協議次第で変化も

⇒ VIX指数と、S&P500は反対の動きをするので、市場のヘッジとして使われる

⇒ 2018年には35を超えたVIXは2回、今年は8月5日の24.59が年初来高値

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1. NY株式市場の動向

トランプ政権になってから、トランプ大統領のツイッターによって市場が影響される。

2017年後半から、米中貿易摩擦が世界経済の最大のテーマとなり、未だツイッターに振り回せている。

チャートは過去の流れから将来を予測するものだが、トランプ氏の思考を異動平均線では測れない。

しかし、過去のトレンドを掴んでおくことは意義のあることで、18年9月末から12月にかけて大きく

下げた。

今年は、米中貿易協議が一部合意になるのではないかという中国筋の発表や、憶測観測から楽観的な

見通しになっており、足元は25日移動線は、75日移動線を引き離しつつある。

 

191120_S&P500移動平均線

 

2. 心理面からの市場判断

心理面からの分析では、市場動向に敏感に反応するVIX指数を使ってみて見る。

VIX指数はVolatility Index(ボラティリティ インデックス)の略。

アメリカのS&P500種指数の価格変動率を、シカゴオプション取引所が算出・公表しているものである。

一般的に、将来の株式市場に対する投資家の不安心理を表す指標とされていて、数値が大きいほど投資家が株式市場の

先行きに不安を感じているということになる。そのことから、恐怖指数とも言われている。

 

下記表は2018年年初からのアメリカのVIX指数と、S&P500を共にグラフにしたものだ。

その特徴は、一方が上がれば一方が下がる負の相関関係を示している。

この二つの相関係数(CORREL関数)を求めて見ると、-0.62と出る。マイナスが出るという事は、二つのファクターが反対の

動きをしている事を示している。

参考に同期間のアメリカのVIX指数と日本のVIの相関係数を計算すると、0.82と出て極めて似通った動きをしていることがわかる。

 

直近のVIX指数は、12~13程で珍しく「穏やか指数」で、ここ1週間ではS&P500は3000ポイントに乗せ、史上最高値を

記録している。

しかし、18年を見るとVIX指数は2月と12月に2回、35を超えた。その年、1月4日には9.22という希な安定値を出したばかりなのに。

 

Wikepediaによると、2000年以降の高値は政治・経済の波乱の時期でもある。

2001年9月21日 アメリカ同時多発テロ 49.35

2002年7月24日 エンロン不正会計事件 48.46

2003年3月12日 イラク戦争勃発    34.40

2008年9月18日 リーマン・ブラザース破綻 42.16

2008年10月24日 世界金融危機    89.53 (1993年以降の最高値)

2011年5月21日 ギリシャ国債懸念   48.2

2011年10月4日 ギリシャデフォルト危機 46.88

2015年8月24日 中国経済失速懸念  53.29

2018年2月6日 賃金上昇による長期金利上昇 37.32

 

一般的にVIX指数は、20を超えると荒れの兆候となるし、平穏の市場も瞬時に切り替わることはよくあることである。

 

このように、市場の流れと反対の動きをすることから、ヘッジを掛ける時、利用される方法がある。

VIX指数を取り入れたETFがある。これをS&P500と同時に購入しておけば、株価が下落した時の補完になる。

 

191119_VIXとS&P500

 

(了)

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