日米、株式市場を動かすもの

 日米、株式市場を動かすもの

(2019.11.28)

⇒ 海外投資家の投資パターンが10月初めから資金の流入に変化

⇒ 年末まで緩慢ながらも上昇基調

1)高値圏の市場

足元の株式市場は、日米とも年初来高値圏にあり、米国は史上最高値を更新中。

その背景は、米中貿易戦争が第1段階で合意に達するかも知れないと、市場は先取りで株価に反映させている。

昨年は米中が関税の対象枠を順次拡大し更に関税率も10%から25%への引上げ、世界の2大国が戦火はなかったが

激しい経済戦争をしていた。

2018年のNYダウのピークは10月3日の26,828ドルから、12月30日の23,062ドルまで約3ケ月で▼3,766ドル、

率で▼14.0%も大きく下げた。その下げの反動が今来ている。

期待が大きいだけに、この交渉が決裂した時は、再度高い山から一気に滑落することも有り得る。

 

日本の株式市場は、米国株式市場と双子のように同じような動きをする。(相関係数:0.8)

日本市場では海外の投資資金の流入・流出により大きく左右される。日本ではその約6割が海外資金であるので、

海外からの流れは市場を左右する。

今年初めからの流れを見ると、4月を除き9月までは資金の流出が続いていたが、10月に入り流入するようになってきた。

それでも年間累計で見ると、1兆888億円の流出となっている。

 

 

191127_海外投資家動向

 

2)今後の見通し

株式市場の見通しをすることは、マクロ・ミクロの指標の積み重ねである。

1)米中貿易摩擦交渉の進展

中国側からの楽観的な観測ニュースが流れているが、決着するとしても年越ししそうだ。

トランプ大統領自身の選挙でスーパー・チューズデイが3月3日に控えており、この前には彼としては成果をアピール

しなければならない。

2)ブレグジット

EU離脱を争った2016年6月の国民投票から約3年半が過ぎ、12月12日に総選挙が予定されている。

ボリス・ジョンソン首相率いる保守党は離脱派だけでもなく、又労働党も残留派だけでもない分かりにくい

政情だ。このまま、まだ暫く交渉を延々継続することも有り得る。損得が見え難くなっている。

3)香港情勢と1国2制度

香港の区議会議員選挙において、これまで民主派は3割の議席だったが、今回の選挙で8割を獲得するという

圧倒的勝利を収めた。しかし、この区議会は立法権はなく、次の段階は立法議会選挙に移るが、いずれにしても

香港単独で物事が決められる訳ではなく、中国の習政権が独立を見過ごすとは思えない。

今後の中国本土からの締め付けが厳しくなろう。

4)米国の経済

2009年7月から始まった米国の経済成長は今年7月には、11年目に入り史上最長を記録している。

FRBも今年3回の政策金利を引き下げたことで、経済低下の懸念はひとまず収まったいるかに見える。

気になる逆イールドも10月には順イールドになっている。(下記グラフ)

しかし、そのトレンドが明るい傾向に元気よく向き始めたとは言い切れない。

 

191128‗逆イールド

こうした政治経済の積み重ねが、総合として株価に現れているのだ。

株式市場は最高値レベルにあるとは言え、決して力強い鼓動を感じさせるものではない。

 

(了)

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