コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > 米中貿易戦争のもたらすもの
(2019.8.25)
⇒ 制裁関税の対象品目はほぼ全てに広がり、関税率の引上げに移って来た
⇒ 両国とも貿易対抗措置の撤廃交渉妥結は、来年11月の米大統領選挙までは無理か
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世界株価が不安定だ。震源地は、昨年から続く米中貿易戦争。
これまでは、「貿易摩擦」と呼んでいたこともあるが、昨今の米中、トランプ大統領のツイッター表現は、
殆ど言葉の爆弾、口爆だ。
・最新の彼のツイッター「中国は長年に亘ってアメリカの知的財産を年間数十億ドルを盗んでいる。
私達は、中国を必要としない 正直言って中国がいない方が暮らしが良くなる」
・中国通信機器最大手「華為技術(ファーウェイ)」への米国製品の禁輸措置強化 先端技術開発に制裁
・トランプ大統領、ツイッターに、「米企業の生産拠点を中国から米国内へ移転指示」書き込み
・中国を為替操作国に認定
一方、中国は23日「今回の措置は、米国の一国主義と貿易保護主義に対応する為に迫まられたもの」と
声明を発表した。
23日中国政府は、米株式市場が開く直前に5,078品目、750億ドル相当(約8兆円)に5~10%の追加関税を課すと
発表。こうした発表を受け、NYダウ工業株は、23日一日で▼624ドル(▼2.3%)、ナスダックは▼240ドル(3.0%)。
NYダウで見ると、今回の下げ幅は今年4番目となり、その内3つが8月に集中している。
更に同日、米国政府は、対中関税措置第1弾~第3弾、計2500億ドル相当品の関税25%を5%引き上げ、30%にすると
対抗措置を発表した。
今回の起爆となったFRBの政策決定会合が開かれた7月30日と8月23日を比較して見ると、NYダウが▼5.8%、
ナスダックが▼6.3%と大きくさげている。
米国は昨年7月以降、知的財産権の侵害などを理由に、中国への制裁関税を順次発動。1~3弾では半導体、自動車、
日用品など計2500億ドルに25%の関税を追加して来た。
これに対し、中国も3回に分けて計1100億ドルの米国からの輸入品に報復関税を掛けて来た。
FRBの金利利下げは本来経済的には、企業にとって資金の流動性が増すことや、金利負担が減ることから好感をもって
迎えられるものだが、それを貿易戦争が打ち消している。
トランプ大統領にとっては、来年11月の大統領選挙で勝つためなら何でもするという意図が見えており、攻撃を
緩める気配もない。
一方中国も、攻撃によって方針を転換させられたとなると、習近平主席にとっては国民の支持を失う事になりとても
政策変更は考えられない。
よって、この爆弾無き戦争は来年の米国の選挙まで続くものと見られる。
こうした貿易の報復戦争は、両国はもとより世界の景気を冷え込ます。
専門家の予測では、このままでは今年の中国の成長率は、6%を切るのではないかとの憶測もある。
日本も他人ごとではないが・・・。
(了)
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