イールドカーブからみる米国景気診断

 イールドカーブからみる米国景気診断

(2018.9.13)

 

⇒ 短期利回りと長期利回りの差が縮小している(フラット化)

⇒ フラット化になると、1年後位に経済は下降に転じるのが経験則

 

イールドカーブとは、縦軸を利回り、横軸を債券の残存期間(満期日までの期間)としてグラフに表す曲腺のこと。

短期より長期の方が利回りが高い状態を「順イールド」と言い右肩上がりのカーブを描き、長期より短期の方が高い状態を

逆イールド」と言い右肩下がりのカーブを描く。

将来的に景気が向上し金利が上昇すると予想すると長期の方が短期より高くなるし、反対に景気が下降すると予想すると短期の

方が高くなる。 

長短の利回りの差が小さくなりイールドカーブの曲線が緩やかになる状態を「フラット化」(Flat)と言い、差が広がる

ことを「スティープ化」(Steep)という。

今回は残存期間ではなく、2年、10年、30年国債の日々の利回りを基に考察を進める。

 

米国の実質GDPは、リーマンショック後の2009年にボトムを示した後ほぼコンスタントに成長を続けており、2018年7月には

10年目に突入した。しかし、成長は永遠に続きはしない。

その米国の経済動向を見るのが3ケ月毎のGDPであり、毎月の雇用動向や失業率、物価統計や賃金指数など経済指標だ。

特に金融政策をつかさどるのが金利の番人、米連邦準備理事会(Federal Reserve Board)であり、大統領が任命する7人の理事で

構成される。FRBの中で定期的に金融政策を決定する機関として「連邦公開市場委員会」(FOMC)があり、FOMCは年8回開催され、

特に3月、6月、9月、12月の4回は議長(現在はパウエル氏)が記者会見を行い、重要決定がされると言われる。

政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利は、現在1.75-2.00%のレンジで推移しており市場関係者は年内に0.25%づつ後2回

利上げすると予測している人が多い。

今後は市場関係者の間では、2019年に2-3回、2020年に1回程度で金利は3.0-3.5%程度で打ち止めとの見方が多い。

 

その際、利上げ観測を見る指標として、4つのファクターがあると言われる。(テレビ東京 モーニングサテライト9月10日)

① 長期失業率

② 中立金利

③ 物価

④ イールドカーブ

中でもイールドカーブは逆イールドになると、経験的に1年後には景気後退期に入るのが一般的。そこで今年の2年、10年、30年の

米国国債利回りを表にしてみると、特徴的なグラフが現われた。

2018年年初からの最高差が2月9日の1.11、最低差が8月24日の0.31。この半年でその差は1/3以上に縮小している。この縮小を論理に

当てはまると、米国経済は急速にピークに差し掛かっており、仮に本年中にこの差がなくなれば、つまりフラット化すれば、来年後半には

成長期は終了するという仮説が当てはまるのだが。

 

180916_米国国債利回り

 

10年物、30年物の利率が上向かないということは、長期景気動向に懐疑的に見る人が多いということ。

今後とも短期・長期の差を注意深く見つめておく必要がある。

 

(了)

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