株価要因 原油から為替に流れは変わった

株価要因 原油から為替に流れは変わった

(2016/5/10)

 

サッカーの試合を見ていると、攻守入れ替えが頻繁に変わる。このジャーナルでも、4月10日に株式変動の要因は

「為替より原油」と書いた。

しかし、5月に入り、この流れは「原油より為替」にはっきりと変わってきた。

その論点はなにか。そしてこれからの見通しはどうか。

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1. 原油価格

4月17日、カタールで産油国会議が開かれた。サウジ、ロシア、ヴェネゼエイラなど18ヶ国が集まったが、イランが参加していない。

このカタール会議の目的は産油量の上限を決めようという会議だが、制裁解除後の復興を目指すイランは収入獲得の為に原油を更に

算出したいところ。特にサウジと意見がかみ合わない。カタール会議としては現状以上の増産をしないという決議はしたものの、それも

イランが同調すればと条件付。バ-レル当り2~3㌦動くかに見えたが、結局その前と変わらない価格となっている。

 

一方5月7日、カナダアルバータ州で大規模な山火事が発生。東京23区の2倍ほどの面積が焼失し、その中にオイルサンド基地があった為、

原油価格が2ドル上昇するという別の要因もあった。

 

原油価格調整は、当面の間手を付けられない期間が続く。

 

2. 為替

4月28日、日銀政策決定会合発表日。1-3月の日銀短観大企業の10-12月が12ポイントが、今回は6㌽と大幅に下がったことなどを受け、

市場では金利の再利上げはないとしても、金融緩和は当然と見られていた。内容としては、ETFの年3兆円程度の積み上げを予想。

しかし、結果は「現状維持」。何も新しいものはなし。これに市場は落胆した。28日は木曜だが、翌日からゴールデンウィークが

始まる。その日の後場は株式市場は荒れ、17,438円から始まった市場は、高値17,572円まで行った株価が「現状維持」の為に一気に

16,666円まで下げた。高低差は920円。為替は27日の111円台から一気に3円近くも上げて108円台になった。

更に続く。GW中の5月2日、下落は更に続き終値16,147円 前日比-518円。為替も106円台になり、一時105円台に入った後、5月3日、

黒田総裁は円高について、「今の様な円高は経済にとって子ましくない影響を与える恐れがある」と述べ、注視する姿勢を見せた。

この二日間の株価の下げは1,142円となる。二日間の東証1部の時価総額が失った金額は、約30兆8000億円だ。

30兆円の国富が表面上、消えた。

 

麻生太郎財務相が9日の国会で、為替市場で急激な円高について質問され、「当然介入の用意がある」と述べたのを受け、ドル円は流れを

変えてきた。9日は107円に戻り傾向を見せ、株価も7日ぶりに+109円となった。

更に、10日の国会でも「一方的に偏った動きが続くのであれば介入するのは当然のことだ」と述べた。これを受けて円/ドルは更に108~

109円台となり、株価も+344円台と落ち着きを見せ始めた。

109円台になり10日終値は、+349円(+2.15% )、16,565円なった。

 

株価を揺るがす三つの大きな要因。中国、原油、為替。この内、中国と原油は動きを止めたので、為替が主役となってきた。

 

3. 今後の為替・株価見通し

麻生財務相、黒田総裁とも105円を切ってどっと大きな流れになったら介入を始めるかも知れないが、105円では現状維持のようだ。

今後は5兆円の熊本地震災害対策の補正予算の成立、早期執行に目が行く。

ただ、こうした口先介入は長続きしない。投機筋もそれを先刻承知の上で、次の機会を伺っているが、その機会とはサミット後か?

 

 

【7月までの見通し】

為替 103-113円

日経平均 16,000~17,000円

 

【行事】

5/18  日 1-3月期GDP一時速報発表 (予想はマイナス)

5/26-27 G7 伊勢志摩サミット

5/末 日 補整予算成立

消費税増税の是か非かの判断

6/1  日 通常国会会期末

6/2  欧 ECB 理事会

OPEC 総会

6/14-15 米 FOMC

6/15-16 日 日銀 政策決定会合

6/23  英 EU 離脱を問う国民投票

7/10  日 参議院選挙 (?)

7/21  ECB 理事会

7/23-24 G20 財務相・中央銀行総裁会議(中国・成都)

7/26-27)米 FOMC

7/28-29 日 日銀金融政策決定会合(展望レポート公表)

 

(了)

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投資助言業 関東財務局長〈金商〉第2841号

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投資リスクについて

1. 株式

価格変動リスク: 株価の変動により投資元本を割り込むことがあります。

また、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変動等により、投資元本を割り込んだり、

その全額を失うことがあります。

株式発行者の信用リスク:市場環境の変化、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の

変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り

込むことがあります。

2. 債券

価格変動リスク: 債券の価格は、金利変動等により上下しますので、投資元本を割り込むことがあります。

また、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込んだり、

その全額を失うことがあります。一方、債券によっては、期限前に償還されることがあり、これによって投資元本を

割り込むことがあります。

債券発行者の信用リスク:市場環境の変化、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに 関する外部評価の

変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り

込むことがあります。

3. 外国株式・外国債券

為替変動リスク:外国株式や外国債券等の外貨建て金融商品では、為替の変動により投資元本を割り込むことが

あります。

4. 外貨建て証券

為替変動リスク:投資対象が外貨建て証券(例えば海外市場に上場にしている株式、外国政府・公的機関・企業等が

発行する債券)では、前述の株式、債券のリスクに加え、為替の変動により、投資元本を割り込むことがあります。

例えば、売却・契約時に投資時期よりも、円安・円高で手元に戻る円貨の額が変わり、円高の場合には投資元本を

割り込むことがあります。また発行した国や地域、適用する通貨発行国の経済状況や政治状況の変化等により売買に

支障をきたし、換金ができないリスクがあります。

(流動性リスク)

5. 投資信託(上場投資信託=ETFを含む)

投資信託は、その投資信託が投資としている資産(例えば株式、債券、商品等)により、価格変動リスク、信用

リスク、流動性リスク、為替変動制リスクを内包しています。

このため、投資元本を割り込んだり、換金ができなかったり、その全額を失う事があります。

6. 投資する国や地域について

カントリーリスク:投資した国や地域により、その国や地域の政治・経済・社会情勢の不安定化や混乱などで投資し

た資金のすべて、又は一部が回収できないことがあります。

戦争や内乱、経済危機がある又は予見される国や地域に投資することは各リスクが極めて高くなります。

 

 

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