新型コロナ 経済再開基準とアフターコロナ

(2020.5.7)

新型コロナ 経済再開基準とアフターコロナ

 

⇒ 中国武漢市で12月初めに発症者が出てから、中国当局は1ケ月以上隠ぺいしようとした

⇒ 経済損失は世界で500兆円を超え、2020年の成長率を▼3.0%と見込む(IMF)

⇒ アフターコロナ、世界のパワーバランスに大変動が 日常生活も

 

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1. 中国当局の隠ぺい対応

今回の新型ウィルスの発生元は中国武漢市内だが、中国当局は二つの点で大きな過ちを犯した。

① 感染の隠ぺいと中央集権体質

昨年12月8日に原因不明な肺炎患者が報告されたあと、中国が初めての感染者の存在を発表したのは

12月31日。習近平氏が対応指示したのは1月20日。習政権の見通しの甘さと、武漢市地方政府の権限の

弱さや中央国家体制の不備が、早急対応を取る時間を浪費させてしまった。

更に12月30日、武漢の医師がSNS上に「7人がSARSに掛かった」と投稿したら、1月3日虚偽の内容を

投稿したとして訓戒処分を受けた。残念ながら、この医師は2月7日死亡した。

 

② 人から人への感染はない

1月11日に重症者1人が9日に死亡したと当局は発表したが、この時点では「人から人への感染」の証拠は発見

されていないと否定し続けた。中国疾病予防コントロールセンター(CCDC)の論文によれば、12月中旬には

人-人感染は既に発生していたという。更に1月6日の病院内の責任者会議において、「新型肺炎に関する

状況を外部に漏らしてはいけない。特にメディアには話すな」と指示が出されていた。

 

こうした隠ぺいの結果、ウィルスは拡散し、遂に1月23日10:00「武漢封鎖」という強硬手段が断行された。

1月25日から始まる「春節」の大型連休を前にしての措置だった。しかし既に500万人が郷里に戻ったり、

海外旅行に出かけていた。

 

2. 新型コロナ 経済再開基準

米国ニューヨーク州のクオモ知事は、経済活動を再開する基準を発表した。

基準は感染者一人が平均何人にうつすかを表す「実効再生産数」が、1.1以下であることを前提条件としている。

入院患者数や、死者数が少なくも14日間連続で減少すること。1日当たりの新規入院患者数が10万人当たり2人未満。

地域内の病床や集中治療室(ICU)ベッドの空きが30%以上、といった要件となっている。

これについて、ニューヨーク市内では、入院患者数と死者数の減少傾向が続き、検査能力も確保確保できているが

空き病床確保など4基準が達成できていない。

 

又大阪府の吉村知事は、どうなったら解除できるのか、出口戦略をきちんと示す必要があるとして、国からは

示されなかったので、「大阪モデル」を発表した。

生活の維持に必要な場合を除く外出やイベントの自粛、それに遊興施設や運動施設への休業要請を原則5月末まで

継続を決めた上で、施設再開などを判断する為の府独自の基準を決定した。

感染ルートの不明な患者数が、10人未満であること。陽性率が7%未満であること。重症患者の病床使用率

60%未満であること。

 

こうした具体的な判断基準を示すことで、これから先を照らしてくれる。国民一人一人が具体的な目標を

共有し、困難にも立ち向かっていける。日本政府も近日中に判断基準を示すそうだが、細部は地域に判断できる

ようなコロナ封じ込め対策を出して欲しい。

 

'200507_出口判断基準2

 

 

3. アフターコロナ

-1. 米中覇権争い

未だ感染症の拡大が続く中、世界の中では封鎖や自粛を解除し始めた国が出始めた。

IMFはコロナによる世界経済損失見込みを500兆円超と見る。その結果、IMFは4月14日、2020年世界

経済の成長予測を▼3.0%に下げた。

IMFはこれまで20年の世界の名目GDPを米ドル換算で約90兆ドルと見込んでいた。リーマン危機の

損失は2兆ドル超との民間試算とも比較すると今回の被害の大きさが理解できよう。

感染者数が減少して来ると、次の関心は世界の覇権争いに続く。

 

トランプ氏は、今年11月の選挙にコロナ問題を取り上げ、米国の外敵として中国当局が故意か、過失か

分からんが発生源は武漢市内の病原菌研究所だとして糾弾している。

これに中国は証拠はないと反論し、どちらも引く構えは見せていない。

 

-2. 中国から国内回帰

世界の多くの国で、中国に製造を委託又は製品購入しているが、今回の封鎖でサプライチェーンが

寸断されてしまった。日本のマスクの大半は中国製で、これが市中のスーパーから消えて久しい。

又、自動車部品も中国に委託していたので、世界の自動車メーカーのラインが止まっている。

今後戦略物資は、中国における一極部品供給体制を見直し、自国へ回帰するか友好国へ製造を移動する

ことになる。これからの中国経済は、中国の雇用情勢の変化とこれまでのような高成長は期待できない。

又世界で進めてきた、鉄道や港湾施設のインフラ工事の遅れも問題化されよう。

 

4月21日、米ミズーリ州は感染防止策を講じるのを怠り、深刻な経済的損失を引き起こしたとして

中国政府、中国共産党、関係役人や機関を提訴した。同州住民の被害額は数百億㌦になるとしている。

これ以外にも、米国、英国、イタリア、ドイツ、エジプト、インド、ナイジェリア、オーストラリアが

訴訟を準備中であるとされ、この動きは今後一層大きくなるだろう。

米国にすれば、訴訟を重ねる事で、覇権のイニシアティブを取れると見るので、手を緩めるとは思えない。

 

-3. WHOとEU

WHOのエチオピア人事務局長、テドロス・アダムス氏の中国へすり寄ったような発言行動が今回の

対応に遅れをとった原因の一つと見られている。

そもそもエチオピアはそのODA(海外援助)の多くを中国に依存しており、アダムス氏が事務局長

就任には中国の支援があったと言われる。

彼は当初、中国の対応に遅れは認められないと言っていたし、人-人感染も証拠はないと中国擁護と

とれる言動を示していた。

こうした動きに対し、トランプ氏はWHOは中国の主張をそのまま受取り、情報共有を怠ったと主張。

米国のWHOへの資金拠出を一時停止するよう指示した。WHOによれば、米国の2年間の拠出金は

約8億9300万ドルで、中国の拠出は約8600万ドルと。再開時期は明らかではない。

 

EUに亀裂が入る懸念がある。

いち早く新型コロナ対策を取ったドイツ。一方、オーバーシュートを許したイタリアやスペイン。

昨日5月6日現在の死者数は、スペインの25,428人、イタリアの29,079人に対し、ドイツは6,993人と

初動の違いが大きな差の違いを見せた。

スペイン、イタリアからしてみれば、ドイツに援助・支援を欲したのに不十分だったという悔いが

残る。EUを纏める中で、今後協調路線を敷いていけるか不安が残る。

 

資料)読売新聞、Bloomberg, NHK

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(了)

 

 

 

 

 

 

 

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