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(2015.1.21)
1月18日の日経新聞一面トップに「ROE経営目標 広がる」として、上場各社が中期計画の中に
自己資本利益率(ROE)*を目標に入れる企業が増えてきたことを報じています。
近年ROEが目標として重要視されてきたのは、欧米ではROEが評価指標の一つとされ、
企業側も海外の機関投資家から銘柄選択の基準にされることで、売上高や利益率などと並んで、
重要視するようになってきました。
日本企業のROE平均では8%台で、欧米のそれは10~15%に対して見劣りします。。
ROEとは企業の収益性を図る指標で、株主資本(自己資本)が企業の利益(収益)にどれだけ
繋がったかを表します。ROEの高いほうが株主の関心が高い訳です。
さらに世界最大の130兆円を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、昨年から
始まったJPX400(2014年1月6日より開始された日本株指数)を、昨年4月からパッシブ運用の
ベンチマークとして採用しました。
このJPX400こそROEを重視した企業を選定しています。東証の基準は次の通りです。
1)スクリーニング
① 適格基準によるスクリーニング
下記のいずれかに該当する場合は銘柄選定の対象としない。
・上場後3年未満(テクニカル上場を除く)
・過去3期いずれかの期で債務超過
・過去3期すべての期で営業赤字
・過去3期すべての期で最終赤字
・整理銘柄等に該当
② 市場流動性指標によるスクリーニング
上記を除く全対象銘柄の中から、以下の2項目を勘案し、上位1000銘柄を選定。
・直近3年間の売買代金
・選定基準日時点における時価総額
(2)定量的な指標によるスコアリング
(1)により選定した1000銘柄に対して、以下の各3項目にかかる順位に応じたスコアを付与します(1位:1000点~1000位:1点)。その後、各3項目のウェイトを加味した合計点によって総合スコア付けを行います。(ROEと営業利益はスコア付けに際しての取扱いあり)
・3年平均ROE:40%
・3年累積営業利益:40%
・選定基準日時点における時価総額:20%
(3)定性的な要素による加点
(2)のスコア付けの後、以下の3項目を勘案してスコアの加点を行います。
この加点は、(2)の定量的な指標によるスコアリングに対する補完的な位置づけです※。
・独立した社外取締役の選任(2人以上)
・IFRS採用(ピュアIFRSを想定)または採用を決定。
・決算情報英文資料のTDnet(英文資料配信サービス)を通じた開示
※(2)の総合スコアのみによって選定を行った場合との差異が最大でも
10銘柄程度となるような加点規模です。
(4)構成銘柄の決定
(3)の加点の後、スコアが高い順に400銘柄を選定。
JPX400に選定されるためには、赤字にしないこと。3年平均ROE(40%),
3年平均累積営業利益(40%)、時価総額(20%)の定量指数で絞られ、
さらに社外取締役2名以上、IFRS、TDnetなど定性的な指標も加味されて400社となります。
毎年10社ほどが入れ替えになりますから、企業側としても絶えず上位に昇るべく精進を
するところにこの指標の妙味があります。ROEを重視する理由がここにもあります。
JPX400の企業名は都度お調べ下さい。
*計算式 ROE=1株当り利益(EPS)÷1株当り株主資本(BPS)