コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > 2015 日本に吹く6重の風
(2015/1/11)
正月明けの日経ヴェリタスが日本の株式市場に「六重の追い風」が吹いていると書いています。
そこで私なりに国民にとって、◎〇△で評価をつけてみました。
1. ◎ 円安 ゴールドマンサックスの調査によれば、東証1部上場企業のEPS(一株当たり利益)は
14年度比22%増と見るそうです。これは1桁代の米欧やアジアに比較して、高い増利益率が期待できます。
2. ◎ 原油安 1/9のWTIはついに50ドルを割って来ました。先週の甘利経産相によれば、原油価格の
値下げは日本にとって7兆円の効果をもたらすそうです。
しかし急激な変化はこれまで原油高で、恩恵を被ってきた産油国にとっては深刻な打撃が襲っており、
ロシアの格付けはBBBー(フィッチ)と通貨危機一歩手前にきており、ヴェネゼイラも国家予算の
組み立てが出来ない状況です。予期しないリスクを予想しておかねばなりません。
3. 〇 米景気の回復
2014年11月にQE3(金融緩和)を終了させたアメリカはその後も住宅着工、失業率の下落、
安定した物価率、株式市場の順調な上昇など安定な成長を続けています。
今後の材料はいつ政策金利を上げるかという点ですが、専門家の見方では本年年央から秋にかけてと
言われています。世界的に低利に向かっている中で、先進国で先駆けて金利上昇に舵を切る時には市場に
動揺が予想されますが、悪い予想ではないので短気に修復するでしょう。
シェールオイル・ガス開発で湧いたアメリカのエネルギ-業界は、昨年の年後半の原油価格
下落に伴い小規模事業者を主体に破綻業者が出始めました。
4. △ 企業統治改革
コーポレートガバナンスのことでしょうが、ROE重視の気風が強まるということでしょうか。
勿論+ですが、ことさら「風」の一つにすべきかどうか。測定不能。
5. 〇 公的年金(GPIF)や日銀による買い
GPIFはこれまで運用が日本国債が主流でしたが、日本株式を12%⇒25%に引き上げます。
GPIFの預り資産は130兆円ですから、約17兆円が株式に回る計算。
投資対象はJPX400のROEの高い銘柄が選ばれます。
また日銀もETFをこれまでの3倍に買い入れ額に引き上げることにしました。
しかし、「官製相場」の危うさとも。
6. △ 法人税率の引き下げ
日本の法人税は35.64%でアメリカに次いで高いので、競争力アップの為3年かけて
20%台に持っていこうという税制が2015年から始まります。
法人は税金を下げて、相続税など急に増税になる中で個人レベルでは違和感を感じますが、
国の体力づくりなのでしょうか。献金の力でしょうか。
番外. ◎ 外国観光客の増加
私の選定です。2014年は前年より約200万人の観光客が増えたそうです。その半数が台湾・中国からとの
ことですが、円安効果もあり、この傾向はまだ続くものと思われます。滞在中およそ一人当たり15万円
の金額を消費してくれるそうですから、200万人の観光客が増えると約3,000億円が経常収支に寄与します。
番外. 〇 国内回帰
円高のため、海外に工場を移転していたメーカーが、円安傾向になったことにより、国内回帰を始めました。
パナソニック、キャノン、ダイキン、シャープなど中国やマレーシアに移転して工場を移転する予定との
ことです。これで円安の効果の期待と共に、雇用の場として地方の活性化が期待されます。
注)当社は個別銘柄の先行き予想をするものではありません。
投資はご自分の判断でされるよう、お願いします。