シェアー論を超える 世界ネット起業のすごさ

シェアー論を超える 世界ネット起業のすごさ

(2017/6/27)

 

日経新聞の二つの記事、6月24日「強さ増す巨大ネット企業 データ独占防止 悩む日欧当局 競争の物差し見直し」、

そして6月26日の1面トップ「シェア首位 8品目交代 中国企業勢い一服 世界16年57品目調査」の結果発表。

この二つの記事を読んで20年前ならシェアーが上がった、下がったと一喜一憂したかも知れないが、何か空しい風

ような気がする。今まだ世界シェアーは重要な「ミッション」なのか? 物なのか、知恵なのか。このシェアー論議から

解き放たれる時が既に来ているのではないか。

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6月24日のデータ独占を注視する公正取引委員会が、アマゾンやグーグルのような「ビッグデータの覇者」を独禁法で

法律の適用が可能かどうか苦悩しているというのだ。これまでは独禁法の対象が価格のつり上げであったが、グーグルなどが

提供しているツールはメールにしろ、マップにしろ、翻訳にしろほぼ無料で提供されてきているからだ。

例えば”Gmail”。迷惑メールもあらかた蹴落としてくれるし、又クラウドに保存していくれるので利用者も多い。

又グーグルマップや、ストリート・ビューも便利だ。

しかし、その裏では個人別に特徴が分類・分析されて、マーケティングに活用されているというのだ。

ピン・ポイントで受け手側の関心を呼ぶ広告が、送信されていると言う訳だ。効率が良い。

 

日本だけでない。むしろ欧州の独禁法当局の方が問題意識を持ったのは早く、特定企業がデータを囲い込むことを懸念している。

欧州はたとえ価格が存在しなくても、「データ集積を通じて市場を支配する企業が生まれる」ことを懸念し、対応を探って

いるという。

 

こうした「ビッグデータ寡占企業」の特徴を見てみると、インターネット関連会社であること。

17年5月現在の世界時価総額のトップ10を挙げて、その業種を調べてみるとトップファイブは見事にネット系だ。

(1ドル=111円)

 

1)アップル (米)       88.4兆円 インターネット、デジタル家電販売

2)アルファベット(米)     74.9兆円 情報サービス

3)マイクロソフト(米)     59.8兆円 アップリケーション ソフトウェア―

4)アマゾン・ドット・コム(米) 52.7兆円 インターネットストアー

5)フェイスブック(米)     48.7兆円 ソーシャルネットワーク ウェブサイト運営会社

6)バークシャー・ハサウェー(米) 45.3兆円 投資持株会社

7)ジョンソン&ジョンソン(米)  38.3兆円 製薬

8)エクソン・モービル(米)      37.8兆円 石油・ガス

9)テンセント・ホールディング(中) 36.1兆円 インターネットサービス

10)アリババ・グループ(中)     33.6兆円 電子商取引

1位から3位まで合計、223兆円、1~10位まで合計、516.0兆円となった。この10位までの516兆円は日本の

年間GDPに追いつきそうな勢いだ。

 

そこでテーマの初めに戻って、なぜ「シェアー」を取り上げるのかの意味について私見を述べて見る。

 

私も若き頃、メーカーに従事していたので、シェアーの重要性は理解できる。

しかし、それはある物を継続的に生産する業者が複数いて、且つ競業している場合にはシェア論は大切だ。

57品目を全て見ている訳でないが、こうしたインターネット分野、インターネットストアーや情報サービスの

シェアーを測れる方法を確立していないからだ

つまり、営々と同じ商品を作り続けるメーカーと違って、ネット企業は「商品の品ぞろえ」すら言うのが難しい。

その場に留まらない。

例えば、スマホに向かって尋ねる音声アシスタント機能「シリ」(アップル)、「コルタナ」(マイクロソフト)は

今後まだ進化する。

スマホのカメラレンズ。モトローラかサムスンかアップルか。他にLenovo、ASUS、Acer、Amazon、Googleなど。

リーダーが定まらない。スマートスピーカー、今後の益々の発展が期待される。

 

シェアー論をしている将にその時、ネット企業は独自の広がりをもって展開して行く。

従前の範疇にとらわれない分野にドンドン拡散していく。

例えば、ベンチャー起業人と言えばこの人、イーロン・マスク(Elon Musk)。1971年6月生まれの46歳。

ペンシルベニア大を卒業。彼の起業理念は「インターネット」「クリーンエネルギー」「宇宙」。

これまでに作った会社:Zip2社、Paypal, スペースX、テスラモータース、ソーラーシティ、ハイパーハープなど。

支払でPaypalは私も使っているし、スペースXは民間宇宙ロケットとして再利用ロケットとして有名。テスラモーターは

電動自動車として急速に売れてきている。ハイパーハープは時速1200キロ/hで都市間を結ぼうという新構想。

こういう人にシェアーという概念はない。世界の人の役立つもの作りが彼のテーゼか。

 

以上一方は農耕民族のシェア論議、他方は狩猟民族の新起業論議。そしてアメリカはこの新起業がどんどん育っている

私たちは両方に目を複眼で注視していかねばならない。

 

(了)

 

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1. 株式

価格変動リスク: 株価の変動により投資元本を割り込むことがあります。

また、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変動等により、投資元本を割り込んだり、

その全額を失うことがあります。

株式発行者の信用リスク:市場環境の変化、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の

変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り

込むことがあります。

2. 債券

価格変動リスク: 債券の価格は、金利変動等により上下しますので、投資元本を割り込むことがあります。

また、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込んだり、

その全額を失うことがあります。一方、債券によっては、期限前に償還されることがあり、これによって投資元本を

割り込むことがあります。

債券発行者の信用リスク:市場環境の変化、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに 関する外部評価の

変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り

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例えば、売却・契約時に投資時期よりも、円安・円高で手元に戻る円貨の額が変わり、円高の場合には投資元本を

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(流動性リスク)

5. 投資信託(上場投資信託=ETFを含む)

投資信託は、その投資信託が投資としている資産(例えば株式、債券、商品等)により、価格変動リスク、信用

リスク、流動性リスク、為替変動制リスクを内包しています。

このため、投資元本を割り込んだり、換金ができなかったり、その全額を失う事があります。

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戦争や内乱、経済危機がある又は予見される国や地域に投資することは各リスクが極めて高くなります。

 

 

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