コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > トランプ政権 米国経済の動き
トランプ政権 米国経済の動き
(2017/3/9)
トランプ氏が米国大統領に選ばれることが決まったのが、2016年11月9日未明(東部時間)。
民主党のヒラリー・クリントン優勢と思われていた大方の予想を覆し、不動産王ドナルドトランプ氏が第45代
大統領として誕生した。
選挙戦では、メキシコ国境に不法入国を防ぐために壁を作るとか、雇用を創出するため輸入品には35%の関税をかけるとか、
海外に展開する米軍の駐留経費は相手国が全額負担するべきだとか、法人税を35%から15%に下げるとか、オバマ政権下での
オバマケアの破棄とか、TPPへの永久離脱とか、等あり得ないと思われる方針を語ったトランプ氏。
さらに、大統領になってからも、閣内調整を余りせずにツイッターを使い直接外部に意見を発信する危なさ。
しかし2月28日の議会での一般教書演説では、これまでのトランプ節が消え去り、プロンプターを読む態度に変身。
”まとも”な大統領に戻った。
そこで”まとも”なトランプ政権の経済政策と、日本経済に与える影響について考えてみる。
———————————————————————————————–
トランプ政権の景気刺激策としては次の通り。
大きな目標 : 「10年間で成長率を4%に引上げ、 雇用を2500万人創出」
1. 大幅な減税 減税規模約10兆円
・所得税の最高税率を39.6%→33%に引下げ
・法人税率35%→15%~20%に引下げ
・他国籍企業の海外資金の還流(本国投資法)35%→10%(期間限定)
・連邦遺産税の廃止
・中間層世帯への減税
・長期キャピタルゲイン・配当収入税の最高税率→20%に引下げ
2. インフラ投資
・10年間で1兆ドル
3. 規制緩和
・ドッド・フランク法(ウォール街改革及び消費者保護法)の一部を撤回、小規模金融機関に最大の支援を与える
・医療費負担適正化法(所謂オバマケア)の大部分は撤回
4. 国内エネルギー産業の振興
・シェールなど石油・天然ガスの生産・利用を促進、石炭産業も振興
5. 民間企業設備投資への刺激策
・設備投資の即時償却
・米国製品輸出に対する減税と、輸入製品に対する課税
6. 国防費 10%増
・上積分10%は約6兆6000億円 (日本の年間防衛費より多い)
7. メキシコとの国境に壁、貿易赤字縮小策
・貿易赤字解消策として中国、ドイツ、メキシコ、(日本)と二国間交渉が始まる。
特に赤字の5割を占める中国とは通貨操作しているとして厳しい折衝になろう。
こうした景気刺激策では、経済発展するぞ!!と何とも頼もしいがさてその源資はどこから来るのか。
減税による減収見込み額は約10兆円。それをどこかで賄わなくてはならない。
そこで出てくるのが、「国境税」だ。
輸入品には関税をかけ、輸出品には減税する。わかり易いが、今のアメリカに”Made In USA“で欲しいモノがあるだろうか?
ハーレー・ダビットソン(バイク)は確かに米国製だが、仮にサムソンのスマートフォンを米国国内で作れるか。
また、日本のファナックの工場オートメーション加工マシンをファナック抜きで世界に勝てるか。
結局、米国国民は高い製品を買わなくてはならなくなりそうだ。
今の米国を牽引しているのは、モノではなく、AI(人工知能)だ。
アップル、マイクロソフト、グーグル、など40年前にはなかった企業だ。これらの企業は独自の工場を持たない。
国境税が議会を通るかどうかは見通しは難しい。
「本国投資法」は過去1回事例がある。2004年10月、1年間に限り5.25%の軽減税率のもと実施した。
直近5年の平均が600億ドルだったものが、この法律を施行した年は約3000億ドルと通常の5倍に膨らんだ。
それまでが35%だったものが、5.25%になったからこの機会を待っていたと思われる。
その時為替が2005年1月に101円だったが、12月には121円になった。
以上の景気刺激策、国境税、本国投資法とも実行されると、ドル高円安に向かい易い。
3月内に行われるトランプ大統領の「予算教書」の中身に関心が必要だ。
(資料:日経新聞、野村証券、日興証券、東洋経済)
(了)
——————————————————————————————–
本情報は当所の業務内容に掛かる投資情報の提供であり、記載されている情報は、予告なく内容を変更する場合が
あります。
投資に関する最終判断は、ご自身の判断と責任において行って下さい。
【金融商品取引法第37条(広告等の規制)に掛かる留意事項】
商号等 コバヤシ アセットマネージメント
所長 小林 治行
投資助言業 関東財務局長〈金商〉第2841号
加入協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会
手数料等
投資助言の契約の前には、「投資顧問契約の契約締結前交付書面」を良くお読み頂き、ご納得のうえご契約頂きます。
報酬等は「投資顧問契約の契約締結前交付書面」又は、ホームページの投資助言業のページをよくご覧ください。
投資リスクについて
1. 株式
価格変動リスク: 株価の変動により投資元本を割り込むことがあります。
また、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変動等により、投資元本を割り込んだり、
その全額を失うことがあります。
株式発行者の信用リスク:市場環境の変化、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の
変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り
込むことがあります。
2. 債券
価格変動リスク: 債券の価格は、金利変動等により上下しますので、投資元本を割り込むことがあります。
また、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込んだり、
その全額を失うことがあります。一方、債券によっては、期限前に償還されることがあり、これによって投資元本を
割り込むことがあります。
債券発行者の信用リスク:市場環境の変化、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに 関する外部評価の
変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り
込むことがあります。
3. 外国株式・外国債券
為替変動リスク:外国株式や外国債券等の外貨建て金融商品では、為替の変動により投資元本を割り込むことが
あります。
4. 外貨建て証券
為替変動リスク:投資対象が外貨建て証券(例えば海外市場に上場にしている株式、外国政府・公的機関・企業等が
発行する債券)では、前述の株式、債券のリスクに加え、為替の変動により、投資元本を割り込むことがあります。
例えば、売却・契約時に投資時期よりも、円安・円高で手元に戻る円貨の額が変わり、円高の場合には投資元本を
割り込むことがあります。また発行した国や地域、適用する通貨発行国の経済状況や政治状況の変化等により売買に
支障をきたし、換金ができないリスクがあります。
(流動性リスク)
5. 投資信託(上場投資信託=ETFを含む)
投資信託は、その投資信託が投資としている資産(例えば株式、債券、商品等)により、価格変動リスク、信用
リスク、流動性リスク、為替変動制リスクを内包しています。
このため、投資元本を割り込んだり、換金ができなかったり、その全額を失う事があります。
6. 投資する国や地域について
カントリーリスク:投資した国や地域により、その国や地域の政治・経済・社会情勢の不安定化や混乱などで投資し
た資金のすべて、又は一部が回収できないことがあります。
戦争や内乱、経済危機がある又は予見される国や地域に投資することは各リスクが極めて高くなります。