コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > 原油価格 底値をついたか?
(2015.2.7)
あれほど急激に下げていた原油価格に変動が生じています。
下記ナスダック2月6日のグラフをご覧ください。最安値45ドルから51ドルに上げに転じています。
特にこの数日は大きく上下していますが、底値だと断言できるほどにはありません。
そもそもこのWTI、ウェスト・テキサス・インターメディエイトは油田の名前ではなく、テキサス州と
ニューメキシコ州の軽質油を称して言われています。1日100万バレル以下でアメリカの原油生産の6%程度しか
占めないWTIが大きな意味を持っているのは、現物価格の100倍にも相当する先物価格を世界から集め、ニューヨーク
マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引がされている所に大きな存在価値があります。
その投資の大きな部分がデリバティブと言われています。
昨年6月末の原油価格はバレル110ドルで、先物の建玉は166万枚(16億6万バレル相当)でしたが、
それが半年足らずで半値以下になったのですから、先物取引関連の損失は莫大と推察されます。
原油が底値であろうという論点は
1)60ドル台で米国シェールオイル開発業者の破たんが出てきており、50ドルを割るとさらに破たんがでる。
2)金融市場に大混乱が生じる。あるファンドは昨年末で36%の損失を出したとの情報もある。第二の
サブプラムにさせないという規制が入るとの憶測。
一方、いやまだ下げ止まらないという論点は、
1)サウジアラビアを中心とする産油国は、シェールオイルと競合しておりシェールオイルの追随を断ち切るまで
生産継続。
2)OPEC内部の意見対立
3)米国がシェールオイルを輸出に動いていること。
などの両面の対立があってまだ流動的です。
日本は、WTI価格制度ではなく、ドバイの現物価格制を選択していますが、WTIに連動したようになっています。
原油の下落は原発停止中の日本には、慈雨として喜ばれています。又地方でも自動車を毎日使用する人にとっては
ガソリン価格の下落として恩恵が回って行くでしょう。さらに加えて円安効果もあり消費者マインドを押し上げて
くれるでしょう。
〈資料 ナスダック WTIチャート1年 2/6現在〉