コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > 米国景気、近づくピーク 「逆イールド」現象が示すもの
(2018.12.5)
⇒ 米中貿易摩擦は90日間での調整は難しい
⇒ 米国国債3年、5年物で逆イールドが11年半ぶりに現出 経験則でその1~2年後に景気後退期に
4日のNYダウは799ドル下げ。今年3番目の大きな下げだ。理由は大きく二つ。
一番目は不透明な米中貿易摩擦の暗雲。アルゼンチンでG20首脳会議が開催され、そこで注目の米中首脳会談が開催された。
主たるテーマは、中国からの対米製品輸出品2000億ドルに対する現行10%の関税を、トランプ政権は来年1月から25%に制裁
追加すると言う貿易摩擦だ。1日にアルゼンチンで開催された米中首脳会談では、1月1日から実施するという追加関税を2月末
までの90日間実施猶予すると発表され、貿易摩擦に対する不安感が和らいだ。
しかし4日、トランプ大統領はツイッターで「私はタリフマンだ。米国の偉大な富を奪おうとした時には、その代償を支払わ
せる」と投稿。期限までに貿易不均衡に対する成果がなければ、追加制裁関税を実施すると圧力を強めた。
この為中国市場関連銘柄に売りが殺到。キャタピラーや、ボーイング、アップルなど大きく株価を下げた。
2番目は国債利回りの逆イールド現象。債券投資家に景気リスク近しと警戒された。3日の3年債と5年債利回り差(スプレッド)
が10年ぶりにマイナスに転じた。通常、金利は期間が長いほど高いが、将来の景気拡大の予測が弱まった時には、長期金利が
低下する傾向がある。その結果、長短の金利が逆転することがある。これを「逆イールド」と言い、過去の事例から、これが
発生してから1~2年後に景気後退局面を迎えるケースが多い。これを忌み嫌う向きもある。事例としては、00年台前半と05年末
以降に逆イールドが生じ、その後どちらも景気低迷期を迎えた。長短金利の逆転は、弱まりつつある成長力に対し、政策金利が
高くなっている状態と言える。
当K-amジャーナルでも「逆イールド」の事例研究として9月13日で「イールドカーブからみる米国景気診断」と題し警戒信号を
発した。(下記サイトをコピぺで開いて下さい。)
https://kobayashi-am.jp/journal/%e3%82%a4%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%83%89%e3%82%ab%e3%83%bc%e3%83%96%e3%81%8b%e3%82%89%e3%81%bf%e3%82%8b%e7%b1%b3%e5%9b%bd%e6%99%af%e6%b0%97%e8%a8%ba%e6%96%ad
5日現在、米国債2年物と5年物は共に2.75%と同率。先行きを景気後退と警戒する投資家からは暫く悲観論を払拭できない。
逆イールドを警戒し「破滅の前兆」と捉えた投資家に、債券や株式の売却を早めさせた。
2009年6月から始まり来年年央には10年を迎える米国景気成長。約10年間も経済成長を続けて来た米国経済もいつか後退期が
来ると警戒している中で、どこかで金利の逆イールドが生じた現象は、乾燥した森林で小さな焚火が大きな森林火災に広がる
ような危険性をもっている。
下記表は米国国債2年、10年、30年物の利回りの推移を示す。10年物と2年物の差は、年内最大値が2月9日の0.8%、最小値が
作2月4日の0.12%。3年、5年物に続き、この2年、10年も近いうちに逆イールドが現出しそうだ。
米国景気のピークは近いと、この現象は教えてくれる。。
(了)
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債券発行者の信用リスク:市場環境の変化、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに 関する外部評価の
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