コバヤシアセットマネージメント > K-amジャーナル > 日本の金融機関 保有株式売り越し
(2016/9/18)
日本の株価は海外投資家に左右されていると説明されてきたが、それだけではなかった。
保険会社や、都銀・地銀の売りも株価の下げに影響を与えていた。
今年4月から9月第2週までを累計すると、海外投資家だけではない実態が明らかになった。国内の金融機関が海外勢と同じの位、
売り越している。それを分析してみよう。
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投資部門別売買代金は毎週木曜日に東京証券取引所から発表され、日経新聞では金曜朝刊に掲載される。こうした分類は1980年
ごろから続いており、世界の他の市場にはない。非常に意義のある統計だ。
今年(2016年)4月第1週から9月第2週までの累計は下記の表をご覧頂きたい。
これまで海外投資家は売買の過半数を超えており、その動向に左右されると聞かされていた。しかし、上記の表によるとその分析は
正しくない。
この表から見えるところを抜き出してみる。
1) 生保・損保と都銀・地銀
合計は▼4,600億円と海外投資家とほぼ同額だ。マイナス金利下で保有資産を売却しているのかもしれない。
財務省はその実態を調べているのだろうか。
2)都銀・地銀
地銀の多くは不動産投資信託(REIT)商品を購入している。地銀はマイナス金利前政策発表は16年1月)前は国債を購入していたが、
マージンが下がったので配当の高いREIT商品を購入していると言われる。
REIT指数を1年前の15年9月16日を100として、15年12月30日は110.7、16年4月1日は117.8、16年9月16日は114.9と、
この1年で約15%上昇した。都銀・地銀の中でREITの比率がどれくらいは不明だが、REITを大幅に売却しているとは見えない。
REIT以外の保有株の売却をしているのだろうか。
3)信託銀行
信託銀行が1兆5800億円の買い越しだ。その大半が厚労省所管の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と言われている。GPIFは
公的年金約130兆円の運用を担当しており、2014年10月、それまでの国内債券60%⇒35%、国内株式12%⇒25%、外国債券11%
⇒15%、外国株式12%⇒25%としてポートフォリオを変えることにした。
つまり債権はそれまでの71%から50%へ、株式は24%から50%へと方針を転換した。130兆円の内、国内株式を13%増やしたと
いうことは約17兆円の資金が市場に出てくるということだ。更にGPIFの資金は短気売買しない方針なので、安定株主になる。
4)事業法人
事業法人の買い越しは、約1兆4700億円だ。事業法人が市場から株式を買い取ると言えば、自社株の購入になる。自社株を購入し
そのまま償却して株数を減らすと、株価が上昇するので株主還元となる。16年もトヨタが5000億円、NTTドコモが5000億円、
ソフトバンクが5000億円と株主対策としてブームになっている。
株主対策以外の背景として、自己資本利益率(ROE)改善の面から見ることもできる。
2014年1月から株価指数として始まったJPX日経インデックス400は、企業の資本効率を示す指標としてROE, 営業利益、
時価総額の3つの指標を取り入れていることから、ROEへの関心が高まっている。
ROEは当期純利益÷自己資本なので、自己資本を少なくすればROEは改善する。
以上、私なりの分析によると、海外投資家への対応は難しいとしても、国内金融機関に対しての対応は出来る。その為にはマイナス金利の
解消が望ましい。
20-21日の日銀決定会合では是非マイナス金利政策を撤廃して頂きたい。
(了)
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投資リスクについて
1. 株式
価格変動リスク: 株価の変動により投資元本を割り込むことがあります。
また、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変動等により、投資元本を割り込んだり、
その全額を失うことがあります。
株式発行者の信用リスク:市場環境の変化、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の
変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り
込むことがあります。
2. 債券
価格変動リスク: 債券の価格は、金利変動等により上下しますので、投資元本を割り込むことがあります。
また、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込んだり、
その全額を失うことがあります。一方、債券によっては、期限前に償還されることがあり、これによって投資元本を
割り込むことがあります。
債券発行者の信用リスク:市場環境の変化、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに 関する外部評価の
変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り
込むことがあります。
3. 外国株式・外国債券
為替変動リスク:外国株式や外国債券等の外貨建て金融商品では、為替の変動により投資元本を割り込むことが
あります。
4. 外貨建て証券
為替変動リスク:投資対象が外貨建て証券(例えば海外市場に上場にしている株式、外国政府・公的機関・企業等が
発行する債券)では、前述の株式、債券のリスクに加え、為替の変動により、投資元本を割り込むことがあります。
例えば、売却・契約時に投資時期よりも、円安・円高で手元に戻る円貨の額が変わり、円高の場合には投資元本を
割り込むことがあります。また発行した国や地域、適用する通貨発行国の経済状況や政治状況の変化等により売買に
支障をきたし、換金ができないリスクがあります。
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リスク、流動性リスク、為替変動制リスクを内包しています。
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