米中間選挙結果 株式市場の反応

米中間選挙結果 株式市場の反応

(2018.11.8)

 ⇒ 議会のねじれ現象で、政策停滞が余儀なくされる

⇒ 成長率は鈍化してくる

 

米中間選挙の結果、上院・共和、下院・民主が過半を占めることが判明した。

民主は下院での過半数奪還は8年ぶり。ねじれ政権運営が求められる。

今後の経済面で予想される動向を新聞各紙を基に予想して見たい。

 

写真 トランプ氏の住まい NYトランプタワー 入り口では警官が機関銃を保持して警護 (撮影 2018.10)

トランプ・タワー NY

 

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1. 民主党下院奪還で株価はどうなった

選挙期間中、トランプ大統領は「もし株価を下げたければ、民主党に投票したらいい。」と言って、共和党への投票に

恐怖感を与え続けた。つまり、共和党が勝利すると、「経済の停滞を招き、株価の下落を招く」、と訴えていた。

では、民主が8年ぶりに下院の過半数を獲得した結果がほぼ判明した7日の株式市場はどうだったか。

投票日前の5日との比較で、NYダウ⇒+2.8%、ナスダック⇒+3.3%、S&P500⇒+2.7%と軒並み2日間で3%前後上昇した。

この結果だけからの判断は早計かもしれないが、選挙直後の株式市場の反応は「民主が下院を奪還して良かった」と受け止めて

いる世論が勝ったと見て取れる。日本の株価は8日になって米国株式市場の反応を追いかけるように5日比+2.6%となっている。

 

2. 今回の結果、何がどうなる

一般論として、時の大統領にとって最初の中間選挙は、与党の数を減らすことが少なくない。それは信任投票になるからだ。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、共和党トランプ政権を支持する人は44%だが、トランプ氏個人を支持する

人は22%。つまりトランプ政権の活動を支持する人の半分はトランプ氏個人は支持していない。これを他の政権と

比較すると、ジョージ・ブッシュ氏の場合はトランプ氏の1/5、オバマ氏の場合は1/10とのこと。

つまり、現政権の政策には賛同するが、大統領個人への支持はしていない人が多いということだ。

トランプ氏は敵と見るとその相手に対し、尋常とは思えない罵詈雑言を仕掛ける。冷静さを欠いた言動で、上から目線で容赦なく

攻撃する。特にCNN,ワシントンポスト紙、ニューヨークタイムズ紙などメディアには、フェイクニュースの名のもとに

名指しで攻撃を繰り返し、民主主義の終焉を想起させる。

又、トランプ氏には、自身の大統領選挙時にヒラリー・クリントン候補を攻撃する材料として、ロシアと手を組んだと

する疑惑がある。疑惑は未だ解消されておらず、本日の報道では大統領を非難する自らの閣僚である司法長官を更迭すると

伝えられる。

トランプ氏はこれまで慣例になっている個人の資産調書も公表していない。更に以前にポルノ女優との不倫疑惑があり、

顧問弁護士が手切れ金を支払ったと表明している点も無視している。

9月にはウォーターゲート事件を取り上げた署名なジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏のトランプ政権の内幕を暴露する

「Fear(恐怖)」が発行され、ベストセラーになった。内容は、自らの閣僚から「大統領は小学校5年生か6年生のように

振る舞う……また、その程度の理解力だ」と言うような評価を受けたり、「トランプ氏は証拠があっても自分の嘘を認めないこと、

決して謝らないことが強さ」など実名入りで記録されている。

彼の言動は、決して品格など持ち合わせていなく、「恐怖」を与える手法を多用して来た。

今後はこうした反動が押し寄せて来るだろう。

 

写真 トランプ政権を批判した本 撮影2018.10 NYの空港にて (本の推奨ではありません。)

FEAR

 

3. 今後の政治・経済環境

昨年12月に施行された大型減税は消費生活に刺激を与えているが、今後7年間持続する。更にトランプ政権は追加減税案を持って

いるが、下院が野党になった今ではそうした追加案は通らない。更に減税より国家歳入が落ち込み、本年1-9月の財政収支は

5,540億ドルの赤字(昨年は6,806億ドルの赤字)と、昨年を上回るペースで財政赤字が膨らんでいる。

トランプ氏は、前大統領バラク・オバマ氏の施策を悉くつぶす方針のもと進めてきたが、軍事費を増やしたい共和党、社会保障費を

増やしたい民主党とのせめぎ合いが激しくなる。

メキシコとの国境に壁を設ける施策も、予算支出を議会から承認されなければ進まない。

 

米国のGDPは18年4-6月期+4.2%、7-9月期+3.5%と順調に推移してきたが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙予想では、

19年1-3月期+2.5%、7-9月期-2.3%と下落予想となっている。

外交、安全保障、通商で点数を稼ぎたいトランプ大統領にとって、自らの施策が通らない場合には「民主党の抵抗が原因で

政策が通らない」と主張することが予想され、外交では中国に益々圧力を掛け続けて通商や知的財産権の米国保護を図るだろう。

更に通商ではTPPを脱退したように、集団ではなく2国間協議に持ち込んで、点数を稼ぐ手法をこれまでより更に激化することが

想定される。

トランプ氏にとっては、2年後の2020年大統領選が既に始まっているのだから。

 

(了)

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