不透明な世界株価 対立する米中

不透明な世界株価 対立する米中

(2018.11.13)

 

⇒ 世界の株価は中間選挙が終わっても不透明

⇒ 中国の経済は更に下降傾向

⇒ 日米株価の直近の回復期間は9ケ月

 

1. 中間選挙が終わっても世界は不安定

世界の株価が不安定だ。11月6日に今年一番のイベントと言われる米国中間選挙が終了して当面の重しが取り除かれた

はずだがそうもいかない。直近3日間で日経平均は676円下落、NYダウは793㌦下落。

当面の原因としては、米中間の貿易摩擦や安全保障問題の高級会合で進展が懸念されていること、原油価格が

下落を続け産油国間での調整の遅れがあること、中国の成長率の低迷により世界の企業業績に暗雲を落し始めている

こと等だ。底辺にはトランプ大統領の出方が読みずらいという点にある。

先の米国中間選挙により、議会の構成が上院は共和党、下院は民主党と「ねじれ」となったことで、対立する法案は

議会を通り難くなった。トランプ大統領としては、目標は2年後の大統領選だ。その為には強気の外交と通商を武器に

「アメリカ・ファースト」を一層振りかざすことだ。中間選挙前より、厳しく対応して来ることが予想される。

 

米中間のイニシアティブ争奪は、トランプ大統領周辺だけで対中強硬論を発している訳ではない。

米国の国務省や国防省などのテクノクラ―トが念入りに論理の組み立てをしていると言われる。その論拠は11月4日の

ペンス副大統領の演説だ。「トランプ大統領は中国に屈しない」と力説した。米国には中国が掲げるハイテク産業で

世界の主導権獲得を目指す「中国製造2025」が米国の未来計画の略奪と映る。野党民主党も、中国は米国の知的財産権を

盗み続ける真の敵国だとこの点については政権方針を支持する。

一方の中国は、安易な交渉では妥協しようとはしない。

 

2. 中国の経済状況

しかし、その中国経済指標がさえない。特に為替対ドル元は、本年最高値は6.25元だが、足元では6.97元とかろうじて

7.0元を越えないレートで維持している。共産党政権の介入も噂される。

互いに譲らぬ輸入品に追加関税を掛け合う中、今年に入って中国のGDPは、第1期年率換算+6.8%、第2期同+6.7%、

第3期同+6.5%と急激に落ちている。貿易収支からは、顕著な落ち込みは見られないが、10月の製造業購買担当者景気

指数(PMI)は50.2と目安となる50割れ寸前で、夏以降の下落が目立つ。

これまで世界一の債権国として誇って来た外貨準備高も、10月は前月より340億ドル減り3兆530億ドルと3兆ドル割れが

目前だ。

これを端的に示したものが、株価だ。上海総合の本年最高値1月24日の3,559元から、足元2,630元。最高値より929元、

26.1%の下落だ。

 

(表1 上海総合指数 18年1月~)

上海総合(1801~)

 

3. 今後の動向

中間選挙終了後も、市場はモヤモヤ感が漂っている。どれとしてすぐには問題の解決が難しい。

FRBの金利利上げも12月の0.25%は堅いと言われるが、来年3回とも言われる中、このような状況では1~2回で

終わりではないか。市場は米国経済のピークアウトは何時かとじっと観察している。

 

本年の結果から見ると、今年の日米両国の株式市場はは1月下旬にピークをつけた。その後2月、米国のVIX指数が

急激に上昇した事を懸念して大幅に下落。日米株価は双子のように相似して動く。10月になると、好調な企業業績の

期待とトランプ政権による大幅減税により年初来最高値を記録。日本もそれに追随。

この間、約9ケ月で株価は回復した。一旦大きく下げた株価は、戻すまで9ケ月から1年以上かかることの実証して

くれた。

 

欧州でも、イタリアの財政問題や、英国のEU離脱(ブレグジット)問題など懸案事項が日に日に問題が大きくなりつつ

あり、回復過程を妨げないとも言い難い。

 

(表2 日米株価の回復期間)

'181113_日米株価の回復

表の9ケ月の回復は過去の実績で将来を保証するものではないが、時間が掛ることを示唆している。

 

(了)

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