独立投資顧問の役割 (1)-米国証券界

(2017.12.30)

今年は米国トランプ政権の身勝手な言動や、北朝鮮の理不尽に振り回された年だった。

しかし、懸念された武力衝突は当面水面下にあるが、来年春頃が危険との報道の見方もある。

そうした中で世界の経済は今年、来年とも上昇傾向にある。

 

2017年10月IMF(国際通貨基金)の発表によれば、世界全体は17年3.6%、18年3.7%と前回(3ケ月前)の

見通しより+0.1%上方修正された。

日本は17年1.5%、18年0.7%と低めだが、前回と比較すると17年+0.2%、18年+0.1%上方修正となっている。

米国は17年2.2%、18年2.3%で、前回と比較すると17年+0.1%、18年+0.2%の上方見通し。

中国は17年6.8%、18年6.5%と、前回比較で17年、18年とも+0.1%上方修正。

インドは17年6.7%、18年7.4%となっているが、前回比は17年-0.5%、18年-0.3%と下方修正。

総じて日本は国内消費の低迷を、米国や中国の景気に依存する姿勢は弱まることは無い。

こうした中で米国の証券界における、独立系投資顧問業の現況と先行きを研究してみる。

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2016年版「アメリカの証券市場」によれば、米国の証券界に係る証券外務員、投資顧問業者(RIA, Registered

Investment Adviser)の総数は2014年で約286,328人。この中で投資顧問業者の数は約28,500人。

他に証券外務員兼投資顧問業者(いわゆるハイブリット型)が24,800人いる。ハイブリット型の増加率は著しく

対前年度比34%も増えている。

米国証券営業員数

 

ハイブリット型の営業形態は商品を販売して、所謂コミッションを受け取るタイプで増加傾向にあるものの、

顧客利益の最大化を目的とする投資顧問業から見ると、利益相反(Conflict of Interest)の観点から理解し難い形態だ。

一般的に金融商品を販売してコミッションを受け取る証券外務員と、顧客に資産運用についてアドバイスをし、

顧客の資産残高に対して一定割合(1~1.5%程度)の顧問料を受け取る投資顧問業者がいる。

どちらが顧客サイドに近いかといえば、販売をしない顧問業者の方がより身近になる。

 

証券を販売する者やアドバイスをする者、どちらにも顧客に対する行動には法規制や自主規制がある。

投資顧問法206条、証券取引法17条には、証券取引委員会(SEC)に登録の有無に拘わらず、虚偽説明、

不実の記載、善管義務、重要事項を欠いた表示といった詐欺的行為は禁止される。またSECガイドブック

適合性の原則違反、利益相反など広範囲な不正行為にも同条が適用される。

 

SECルールでは、顧客の利益を最大化するための行動を義務付けた基準として、「フィデュシュアリー・

デューティー」(FD=Fiduciary Duty)が、特定証券を販売したり、アドバイスする者には適用される。

それとは別に退職資金に係るFDの動きもある。米国労働省は企業年金関係者に対し、加入者や受益者に対して

忠実義務や注意義務等を内容としたFDが課されている。(「従業員退職所得保障法」エリサ法

このエリサ法でも投資アドバイスを行う者に対するFDを適用する範囲が狭く設定された為、義務が課されて

いない部分の存在が指摘されている。

 

2010年に成立した「ドッド・フランク法」ではSECに対して、投資家保護の立場から証券外務員や投資

アドバイザーに適用される諸規定の有効性を評価し、又規制上の問題点の把握と対応など調査を行うよう

要請した。

 

法規制上は不備の点もあれども、DFが顧客に最大利益を提供しなければならないとする目的は共通認識で一致

しており、証券や年金に関わる商品販売をする者や、投資アドバイスをする者すべてがこのFDの規制下にある

ことは間違いない。

 

英国では2012年12月、「リテール投資商品販売制度改革」において、販売会社が商品の提供者から委託

手数料(コミッション)を受け取ることが全面的に禁止された。受取ができるのは投資家から直接支払われる

顧問料(Fee)だけである。

 

日本では、2014年9月に公表された金融庁の方針の中で「商品開発、販売、運用、資産管理それぞれに携わる

金融機関がその役割・責任(フィデュシュアリー・デューティー)を実際に果たすことが求められる」と

記せられ、広く知られるようになった。

 

次回は独立投資顧問業者の預り資産や報酬に関し、研究する。

 

(了)

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投資リスクについて

1. 株式

価格変動リスク: 株価の変動により投資元本を割り込むことがあります。

また、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変動等により、投資元本を割り込んだり、

その全額を失うことがあります。

株式発行者の信用リスク:市場環境の変化、株式発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の

変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り

込むことがあります。

2. 債券

価格変動リスク: 債券の価格は、金利変動等により上下しますので、投資元本を割り込むことがあります。

また、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込んだり、

その全額を失うことがあります。一方、債券によっては、期限前に償還されることがあり、これによって投資元本を

割り込むことがあります。

債券発行者の信用リスク:市場環境の変化、債券発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに 関する外部評価の

変化等により売買に支障を来たし、換金できないリスクがあります(流動性リスク)。この結果、投資元本を割り

込むことがあります。

3. 外国株式・外国債券

為替変動リスク:外国株式や外国債券等の外貨建て金融商品では、為替の変動により投資元本を割り込むことが

あります。

4. 外貨建て証券

為替変動リスク:投資対象が外貨建て証券(例えば海外市場に上場にしている株式、外国政府・公的機関・企業等が

発行する債券)では、前述の株式、債券のリスクに加え、為替の変動により、投資元本を割り込むことがあります。

例えば、売却・契約時に投資時期よりも、円安・円高で手元に戻る円貨の額が変わり、円高の場合には投資元本を

割り込むことがあります。また発行した国や地域、適用する通貨発行国の経済状況や政治状況の変化等により売買に

支障をきたし、換金ができないリスクがあります。

(流動性リスク)

5. 投資信託(上場投資信託=ETFを含む)

投資信託は、その投資信託が投資としている資産(例えば株式、債券、商品等)により、価格変動リスク、信用

リスク、流動性リスク、為替変動制リスクを内包しています。

このため、投資元本を割り込んだり、換金ができなかったり、その全額を失う事があります。

6. 投資する国や地域について

カントリーリスク:投資した国や地域により、その国や地域の政治・経済・社会情勢の不安定化や混乱などで投資し

た資金のすべて、又は一部が回収できないことがあります。

戦争や内乱、経済危機がある又は予見される国や地域に投資することは各リスクが極めて高くなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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