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161 五輪と経済波及効果の関係
(2013.10.29)
9月8日に3候補都市の中で東京が選ばれたことは7年先が見える明るいニュースだった。
このビッグ・イヴェントを単に2週間のスポーツの祭典の開催として終わりにしてはならない。
この機会を「日本を取り戻す」ための起爆剤として、成長戦略を立案・実行することが必要だ。

先ず開催地当事者の東京都は五輪開催が決まるとその経済効果は7年間で約3兆円とはじいた。
(以下の試算はいづれも7年間での試算であり、開催後の落ち込み予想額は含んでいない。)

東京都の五輪経済効果試算(7年間) 3兆円、 雇用誘発数約15万人
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/06/20m67800.htm

五輪決定後色々な民間調査機関が試算を発表した。みずほ総合研究所は経済効果を2.5兆円、雇用創出数を21万人と見込んだ。この数値は東京都の試算より下回るものだ。
SMBC日興証券は4.2兆円。

次に三菱UFJスタンレー証券は経済効果を29兆円とはじいた。これは東京都の約10倍になる。
東京都は飽くまで施設整備、大会運営費、観戦客の消費支出などで1兆2000億円、生産誘発額(経済波及効果額)を2兆9600億円、雇用誘発数を15万人とみている。
しかし、東京都の試算には既存の公共インフラ整備事業を見込んでいないが、公共事業が前倒しで実施される可能性が高く、三菱社ではそれも見込んでいる。3環状道路整備に1.3兆円、首都高の老朽化対策に9,100億円、羽田・成田直結線の前倒しに4,000億円、東京8号線(豊洲ー住吉)の前倒しに1,200億円などだ。

今回最も高い試算を出しのは大和証券の150兆円だ。
同社の計算によると、日本の観光業がGDP比現在の5%が10%に倍増して、95兆円の効果とはじいた。さらに道路整備など政府のインフラ投資でも55兆円の経済効果が出ると分析している。

3兆円から150兆円までの幅のある試算をどの様に考えたら良いのか。

そこで過去夏季五輪が開催された五輪効果を調べてみた。
1964年 東京
1984年 ロスアンゼルス(アメリカ)
1988年 ソウル(韓国)
1992年 バルセロナ(スペイン)
1996年 アトランタ(アメリカ)
2000年 シドニー(オーストラリア)
2004年 アテネ(ギリシャ)
2008年 北京(中国)
2012年 ロンドン(イギリス)
これを見て見て初めての開催の国と、施設が充実している国とは施設整備に回す費用が異なることを考慮しておく必要がある。特に3回目となるロンドン大会の効果は1.5兆円と英政府が発表した。
ロンドンの五輪経済効果 1.5兆円
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0302Y_T00C13A9GO2000/

東京は2回目であり、コンパクトな開催を表明していることからも、大きな経済効果額を期待しないほうがよさそうだ。インフラを急ぐと他のプロジェクトが停滞する。
また急に整備を急げば、その分反動も大きくなる。
我々の望むことは急成長ではなく、安定した成長だ。

次回jは五輪と株価の関係を調べる。

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