米国金利上昇 新興国資金集結の懸念

米国金利上昇 新興国資金集結の懸念

(2018.5.11)

 

⇒ 米国、6月にも今年2回目の利上げ

⇒ 新興国資金が米ドルに流れ、特にアルゼンチンに8回目のデフォルト懸念

 

米国は2015年12月に政策金利を引き上げて以来、今年3月まで計6回、各0.25%づつ引き上げてきた。

現在の利率は1.5~1.75%。その引き上げの根拠の基礎が雇用統計と失業率だ。

米国の失業率は1980年以降、1982年の9.71, 2010年の9.61を高位とし、この38年間で4%を切ったのは

2000年の3.97%のみ。その米国で4月失業率が3.9%と4%を切った

ADP雇用統計でも、4月は20.4万人と目安とされる20万人を維持している。

こうなると、次回6月のFRB政策決定会合で、7回目の金利引き上げが予想される。

そこで問題になるのが、米国の金利が上昇すれば、世界の資金、特に新興国の資金が米国に集結の恐れが

ある。デフォルトの危機があるのか。

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1. 3月利上げとドル安円高

金利が上がれば為替が強くなるのが一般論だが、米国で今年3月21日6回目の金利引き上がをした後、ドル円

為替は23日104.74円と年初来最高値を記録した。セオリーと反対の動きをした。

その当時、韓国では平昌オリンピックも南北合同チーム結成という雪解けムードもわずかにはあったが、

依然軍事衝突という危険性も強くあった。この理屈に合わない現象に専門家も説明に窮していたほど。

更に米国国債利回りも2年の短期物が、30年の長期物との利幅を狭めている。つまり長期物は利上げカーブは

緩やかなのに対し、2年物はじりじりとその差を縮めている。

(当ジャーナル 18.3.8 『国債利回り、為替の動向』参照)

2. 世界の国債利回り

本日現在の国別10年国債利回りをグラフで見てみると、米国の2.95%を基軸として、左が新興国、右がアジア・

欧州となる。G7の中で米国が最も高い。(表中日本は0.03%、スイスは0.00%)

米国の利上げ観測の中で米国金利は急激に上昇し、4月25日には3.01%と14年1月以来となる高位を記録した。

そこで気を気になるのが、新興国。ブラジル、メキシコ、ギリシャ、そして表にはないアルゼンチン、トルコなど。

国別10年国債利回り(180511)

3. アルゼンチンの政策金利40%

5月4日、アルゼンチンの中央銀行は、政策金利を6.75%引き上げ年40%にすると発表した。この8日間で

3度目、引き上げ幅は12.75%となった。

その理由は通貨ペソが米ドルに対する下落に歯止めが掛らず、通貨防衛の為緊急利上げをしたもの。米10年債が

3%台に上昇したことから、財政基盤がぜい弱なアルゼンチンペソは年初から約2割下落していた。当局の為替

介入も効果は薄かった。

もともと過去7回もデフォルトを経験しているアルゼンチン。最近では2014年7月。国民も自国通貨ペソへの

信頼が薄く、下落の懸念があると米ドルに切り替えるお国柄。

こうした意味でアルゼンチンは、危険度を示す「炭鉱のカナリア」とも言われている。

そのカナリアがバタッと行かないよう注視が必要だ。

(了)

 

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