ベア(弱気)相場に入ったか?

 

ベア(弱気)相場に入ったか?

(2018.12.23)

⇒ トランプ大統領の独善的な施策が市場を混沌化

⇒ 市場は最高値から直近まで大きく押し上げ

⇒ ボラティリティ指数も2月以来の30超

 

 

1. 世界経済不安の背景

2018年51週に入り、市場の下落が激しい。

12月14日(金)と12月21日(金)と比較すると、日経平均で▼1,208円(▼5.7%)、NYダウで▼1,655㌦(▼6.9%)。

日経によると米国市場の株価週間押し下げは、リーマンショック直後の2008年10月以来10年ぶりの下げ率と。

背景を見ると、やはり主役は米国トランプ大統領。

 

1)FRBの利上げ問題。12月19日にFRBは予定通り今年4回目となる0.25%のFF金利を引き上げた。これに対し

トランプ大統領は、かねてより利上げは市場に悪影響を与えるので利上げしないよう、ツイッターで呼びかけていた。

利上げが発表されると、今度は自らが今年2月に第16代議長として選任したパウエル議長を、更迭することを検討中

とのニュースをメディア報道が伝えた。

2)予算。議会は11月の中間選挙で下院は野党民主党が主導権を持っており、連邦予算に「国境の壁」予算が含まれて

いないと大統領は署名を拒否している。その為、政府機関の一部が予算不足で閉鎖することになりかねない異常な事態だ。

3)重要閣僚の辞任。トランプ大統領に唯一物言える閣僚と言われているジェームス・マティス国防長官が大統領の

シリアからの軍隊完全撤退の方針に異議をとなえ、近々辞職することになった。マティス長官は野党民主党からの人望を

集めていただけに、政権に対する世論の不安感が増して来た。

4)米中貿易摩擦。米国による対中製品の輸入品に対して、1月から従来の10%を25%に引き上げると発表していたが、

先のアルゼンチンでの米中首脳会談で2月末まで猶予するとし、その間に協議することにした。しかし、報道によればその

協議は進んでいないし、合意のハードルは高い。関税引き上げの可能性が高まって来た。

5)第2回米朝首脳会談。大統領は今年6月シンガポールでの初めての米中首脳会談に続き、次回会談を来年1月か2月に

開催とツイッターで伝えた。しかし、その後の進展の動きがないとメディアは伝えている。

 

こうした情勢の中で、12月初めに中国の最大手通信機器メーカーファーウェイのNo.2で創業者の娘を、シリア向け経済

制裁に違反との容疑でカナダに司法要請をして逮捕。その背景としては、同社は中国の戦略目標「中国製造2025」の核心

メーカーで、第5世代(5G)の通信では世界制覇を狙っていると言われる企業。米国は既に中国当局が中国製品を介して

大量情報を収集することに懸念を示し、中国の主要通信機器メーカー製品を政府調達から排除し、且つ同盟国に同様の

排除を要請していた。ニュージーランド、オーストラリアに続き日本もこれに同調した。

日本でも中国からの工業製品の落ち込みが顕在化になってきている。同社に対する日本からの部品供給は年間5,000億円を

越えるとのこと。中国経済の一気に縮小することが懸念される。

 

 

欧州での懸念は、ブレグジット。来年3月に英国がEU離脱をするに対し、合意できるか否かが不透明だ。英国メイ首相の

案を英国議会で通過するには賛成議員数は少ない現状で未だシナリオの見通しが立っていない。

 

不安感ばかりが漂う市場だが、日本を含め世界の市場を見てみると、今年は10月初めに今年最高値を記録した後、急激に

相場の落ち込みが起きた。一般的に高値から20%以上下落すると、「下落相場」とか、「弱気相場」とか言われる。

株式市場で大きく下げている主要マーケットは、やはり中国。1月24日の最高値から足元約30%下げている。

日経平均は10月2日をピークとして、直近では約17%のマイナス。米国市場では9月末から10月初めに付けた

最高値から22~16%の落ち込み。

一般的にはX’マス相場として、購買意欲が上がる今の時期は株式市況も上昇ムードが高まるはずだが、来年春の米中協議や

ブレグジットの進み具合では一層の下げも覚悟しておく必要がある。

(表1)

'181222_直近値と最高値

 

2. ボラティリティから見てみると

株価の「恐怖指数」とも言われるボラティリティ指数を日米で比較して見た。

ボラティリティが大きいとは価格の変動性が大きいことを指す。また、1つの変数の変動に対する他の変数の感応性を

意味することもある。市場に不安になる状態を指数化したもの。巷ではこれを恐怖指数と言う向きもある。

今年の中ほどから11月くらいまでは、ニューヨーク市場の方が東証より下回っていた。しかし第51週のような

大きな下落にはさすがに大きく反応し、東証のVI値を超えてしまった。結果ニューヨーク市場のVIXは2月以来30を超えた

市場の変動の大きなことが計れる。

この表から読める事はNYが変動すると、後を追って東証が追随すること。年末の相場は安定とは言えない

(表2)

'181222_VI指数

 

(了)

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