平成20年 東京都地価調査 (社)東京都不動産鑑定士協会ホームページより。

1.不動産市場について

近年、我が国の不動産市場は投資マネーの流入、市街地・交通基盤整備、地域活性化等によりバブル崩壊以降の好況が続いていたものの、昨年に始まったアメリカのサブプライムローン問題を背景とする資金調達環境の悪化、建築基準法改正による住宅着工の減少、鋼材価格の上昇、個人消費の減退による住宅販売件数減少など、この1年で不動産市場は再び長いトンネルに入るのではないかと懸念されている。

但し、収益性の高い商業施設、居住環境に優れる住宅などは依然として高値での取引が行われていることから、今後は実需に即した市場がより一層形成されるものと期待される。

2.地価動向について

【総括】

平成20年地価調査の結果で特筆すべき点は、都心部に於いて地価の下落地点が現れてきたことにある。その原因としては、特に前述の資金調達環境の悪化に伴う不動産会社の倒産、マンション市場については「新価格」「新々価格」といった一般消費者の手が届かない価格での分譲による販売不振により、不動産市場が悪化したことがあげられる。

そのような状況ではあるが、明るい話題もある。地下鉄副都心線の開業である。副都心線の開業によって埼玉県から池袋・新宿・渋谷方面への買い物客が増加している。商業地が活性化し、都市の機能更新が促進している。今後、東急東横線との相互直通運転が実現すれば横浜方面からの人の流れができ、より一層これら商業地の活性化が期待できる。

【東京23区の地価動向について】

[住宅地]

平成17年より上昇に転じた地価動向は依然上昇傾向にあるものの、その上昇率は大幅縮小した。具体的には19年+13.1%から20年+1.5%となった。

上述のとおり、市況の不透明感が増したことで昨年までの強い上昇傾向から地価は調整期に入っている。千代田区中央区港区新宿区渋谷区の中心5区について、千代田・中央・新宿区は概ね前年比+2〜+8%程度上昇した一方で、渋谷・港区は前年比2〜4%程度下落した。市況の不透明感により、需要者側の様子見、物件選別の厳格化により、二極化傾向の顕在化が強まっている。また、ブランド力、利便性に優れた住宅地の需要は依然根強く、一定の上昇傾向が見込まれる。具体的には、千代田区の番町エリア、副都心線開通の恩恵を受ける豊島区内の住宅エリア等である。一方、マンション分譲大手が在庫物件の値下げ(最大10%)を公表する等、近年の住宅地価や資材価格の上昇による建設コストが供給サイドを圧迫している。

23区内全体において、中心区、内周区、外周区ともに一様に上昇率は前年比大幅ダウンとなり、特に、前年+23%〜+24%程度の極めて高い上昇傾向を見せた渋谷区港区文京区はその反動も大きく、今年度は下落もしくは横ばいとなった。

[商業地]

商業地の地価上昇率は平成19年+20.0%から平成20年+5.1%へと大幅縮小した。

金融不安による信用収縮(レンダーの姿勢硬化)が昨年までの牽引役であった不動産投資ファンド等の資金流入を停滞させ、一層の市況不透明感が広がりを見せている。このような中、近年の急激な右肩上がりの地価、賃料の高止まりを嫌気する需要者が物件の選別化を強め、様子見を始めたことが起因とみる。

平成20年以降においても23区内は再開発ビルの建設、竣工が相次いでいる。千代田区・丸の内地区の「丸の内パークビル・三菱一号館」「グランドトウキョウノースタワー期」、「大手町地区連鎖型再開発事業」、港区「赤坂サカス、赤坂BIZタワー(竣工済)」「虎ノ門・六本木地区再開発 複合棟」、新宿区「日テレゴルフガーデン跡地」等。土地の高度利用により収益力を向上させるが、相次ぐ大型供給に見合う十分な需要吸収が昨今の景気動向と相まって懸念される。

中心区の空室率は微増傾向を示すエリアもあるが、一等地においては依然堅調の範囲で推移(最も低い大手町、丸ノ内、有楽町では0.5%程度)。但し、テナント賃料負担能力や経済情勢からSクラスビルから割安なビルへ移転する企業も出てきており、注視が必要である。

 

商業地全体の地価は依然として上昇傾向(上昇幅は縮小)にある。但し、副都心線開通による利便性の向上から一層の集客力アップが期待される新宿中心エリアは依然価格に大きな伸びを見せる反面、駅性格や、駅距離などにより繁華性に乏しい商業地では横ばい、下落傾向を見せている。

 

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